本研究の当初の目的は、ニュージーランド(NZ)・南アルプスでの絶対重力計(AG: Absolute Gravimeter)および相対重力計による測定を実施することで、隆起や変動メカニズムを解明すること、またNZでの新設・既設重力点でAG測定を実施することで、NZにおけるAG基準点網の強化・拡充を行うことを目指していた。このため、H27~H28 年度にかけ、NZでの新設重力点を含めたAG測定を実施するとともに、南アルプス山岳地帯ではヘリコプターを利用した相対測定も実施し、これらの結果について公表した。 一方、H28年11月には、NZ南島でM7.8のカイコウラ地震が発生し最大10mにもおよぶ地殻変動が生じたことから、H28~H29 年度にかけ、同地区での重力測定を実施し、数100μGalにおよぶ明瞭な重力変化を検出した。さらに、NZ側研究協力者と検討の上、H30年度には、同地域で将来予想される地震に備え、南島・北島での絶対重力測定点の空白地域で新たに5点での絶対重力測定を行った。また、H30~H31 (R1)年度にかけ、カイコウラ地震域におけるGNSS測量による高さ変化のデータが公表されたことや、NZ側で追加の重力測定が実施されたことから、H31年度に一部経費の繰り越しを行い、これらのデータも加え、変動の大きかったカイコウラ地震域における高さ変化と重力変化の関係から、地震活動による地殻変動のメカニズムに着目した解析を行った。さらに、NZでは高さ基準がジオイドに準拠したものに変更されていることから、オーストラリアの研究者とも共同で、カイコウラ地震によるジオイド変化の影響についての検討も行った。
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