研究課題/領域番号 |
15H05207
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
島 伸和 神戸大学, 理学研究科, 教授 (30270862)
|
研究分担者 |
沖野 郷子 東京大学, 大気海洋研究所, 教授 (30313191)
野木 義史 国立極地研究所, 研究教育系, 教授 (90280536)
佐藤 太一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (50613246)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 地球磁場変動 / 地磁気異常 / 海洋底の磁化 |
研究実績の概要 |
深海における地磁気観測から得られる地磁気異常を利用することで、海洋底の磁化の記録から、地磁気の逆転より詳細な古地磁気変動を読み取ることが本研究の目的である。具体的には、設定した調査海域において海上および深海における地磁気観測を実施し、得られた地磁気観測データを解析して、海洋底の磁化変化を推定する。 本年度の最も大きな実績は、調査海域1(インド洋)で観測を、H28年1月に学術研究船「白鳳丸」による調査航海により実施したことである。観測には、海上曳航式プロトン磁力計、船上3成分磁力計、深海曳航式磁力計を用いて、海上および深海での地磁気観測データを取得した。調査海域1には、2つの長大なトランスフォーム断層がある。トランスフォーム断層は、海洋底にある大きな傷でマントルへの水の取り込みの有力な候補だと考えられている。この長大なトランスフォーム断層の存在は、マントルへの水の取り込みによる蛇紋岩化現象とこれに伴う磁化変化が起こりえる場所である。得られた観測データの解析を開始している。 調査海域1での調査以外では、AUV「うらしま」に取り付けて利用するオーバーハウザー型磁力計の導入を行った。また、調査海域3(マリアナトラフ背弧海盆)での調査を、(独)海洋研究開発機構の研究船利用公募課題として提案したが、残念ながら不採択であった。一方、調査海域4(太平洋ハワイ沖)での海上地磁気異常データのコンパイルも開始している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画どおり、調査海域1(インド洋)での調査を実施することができ、調査では、海上および深海曳航式磁力計による深海での地磁気観測データを取得できたからである。なお、当初は、マリーセレストトランスフォーム断層とその周辺に集中してデータを取得する予定であったが、この場所では1測線だけの調査になった。天候悪化にともない北側に退避したためで、替わりに北側にあったアルゴトランスフォーム断層でもう1測線のデータを取得することができた。これらのデータ解析を開始している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、1)調査海域1での観測により得られた観測データの解析、2)調査海域2(インド洋、マダガスカル島の南の海域)での調査の準備と観測、3)次年度の調査航海の提案、4)研究結果の公表、を進める。具体的には次の通りである。1)調査海域1には、2つの長大なトランスフォーム断層があり、ここで得られた深海地磁気観測データを解析する。これにより、マントルへの水の取り込みによる蛇紋岩化現象に伴う磁化変化を評価する。2)調査海域2は、インド洋で白亜紀スーパークロンの時期に形成された海洋底が存在する海域であり、ここでのフランス船による調査が、2017年の早い時期に計画されている。現時点では具体的な日程が確定していないが、フランス側とこの調査航海の詳細な打ち合わせを進め、深海曳航式磁力計による観測の準備をして、この航海における観測を実施する。3)調査海域3(マリアナトラフ背弧海盆)もしくは調査海域4(太平洋ハワイ沖)での調査調査を、(独)海洋研究開発機構の研究船利用公募課題として取りまとめて提案する。調査海域4は、太平洋で白亜紀スーパークロンの時期に形成された海洋底が存在する海域であり、この海域での海上地磁気異常データのコンパイルを行い、海上地磁気異常データによる白亜紀スーパークロンにおける古地磁気変動の抽出も試みる。4)調査海域1での深海地磁気観測やこれまでに得られている深海地磁気観測データの解析結果を関連する学会等での発表により公表する。
|