研究課題/領域番号 |
15H05211
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
WALLIS R・Simon 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (30263065)
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研究分担者 |
鷺谷 威 名古屋大学, 減災連携研究センター, 教授 (50362299)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ボリビア / ウユニ / 段丘 / マグマ流動 / 測量 / 年代測定 |
研究実績の概要 |
本研究はかつて南米に広く分布していたTauca湖の周囲に形成した段丘を過去の水平マーカーとして利用し、精密な測量と段丘の年代決定から中部地殻におけるマグマ流動のタイムスケールと量を推定する。本年度Gatan Mini CLを購入し、既存の電子顕微鏡 (JSM6510 LV)に取り付け、作動を確認した。また、野外調査を効率良く行うために、ボリビアの火山活動と過去2万年程度の湖の分布に関する情報を収集した。また、注目する予定のUturuncu火山で設置されたGPSの観測データを入手し、時系列の解析を行った。解析の結果、近年まで続いてきた火山体の急速的な膨張と成長は概ね治ったことが明らかになった。その結果を踏まえて、調査範囲を当初より広く設定することとした。その理由は10年時間スケールでの顕著な隆起は中部地殻におけるマグマ流動を直接的に関係するかは不明であり、脱ガス現象などの可能性があり、中部地殻におけるマグマ流動を捉えるためにより巨視的に観測する必要があると判断したからである。約2週間の現地調査も実施した。主要な調査地域はウユニ塩湖周辺と中央にある島の斜面である。計10箇所でかつて存在していた湖の高さを示す段丘の標高測定と段丘に付着した炭酸沿岸(tufa)と一部のちいきについて基盤になっている火山岩のサンプリングを行った。標高決定にはKinematic GPSを用いた。炭酸塩岩と火山岩の試料は計20個を採取した。現在,標高のデータの解析と試料の年代測定のための準備を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していたCL装置は問題なく購入し、設置も終了した。また、ボリビアでの調査は問題なく実施し、GPSによる測量と年代測定用の岩石試料の採取は無事に終了した。年代測定のために試料観察と分離は今行われている。予定外のこととしてUシリーズの年代測定を京都大学のラブで予定していたが、連携研究者は移動となり、分析は当面できない状況となった。現在代わりに測定できる研究施設を探しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は主としてまず2回目の野外調査におけるGPSによる測量と年代測定用試料の採取を予定している。H27年度の調査はウユニ塩湖の北部と西側を中心に行ったが、今回は東側とウユニ湖より北方北側コイパサ湖での調査を予定している。中部地殻の挙動に関するデータを取得するために十分幅広い地域を調査する必要がある。ウユニ湖の水位が最も高い頃(Lake Tauca Phase)両盆地の水域は繋がっており、一つの大規模な湖が存在していたことが地形から推定される。また、衛星画像観察から炭酸塩岩が付着している段丘の存在も推定されるので、年代測定用の岩石試料を採取する予定である。H27年度の経験からプロフィールの測量と必要な岩石採取の作業は一日で2箇所が可能である。H28年度も同様なペースで調査を行う予定である。移動時間が長いので、約30箇所の測量を予定している。また、H27年年度開始した炭素同位体測定による年代測定を継続する。そこで、14C年代の欠点の一つとして古い炭素の混合問題がある。14C年代値を再確認するためにUシリーズ年代測定も予定している。ただし、コストが高いので試料の数は14Cの数より少ない。また、H27年度取得した標高のデータを解析するために力学的モデリングを行う。今回の調査でtufa形成場所に関する解釈が重要であるので、現在同様な岩石が形成しているところ(例えば、California州のMono Lake)での観察も予定している。
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