研究課題
27年度および28年度の前半に延長した研究では,カナダ・ブリティッシュコロンビア州ホーンビー島および同州ハイダグアイ(クイーンシャーロット諸島)グレアム島にて試料採集を行った.調査は事前に研究協力者のJim Haggart博士(カナダ地質調査所)と打ち合わせを行ったうえで長谷川と研究協力者(大学院生)が進めた.過去に採集した試料を補完する形で採集した.グレアム島においては,特に干潮時にしか露出しない露頭であり時間的拘束が大きく,かつ海岸礫に覆われているため試料採取が困難を極めたが,約10試料を採取した.ただちに現地で有孔虫処理を行い,化石を拾い出した.これを調査後に参加した米国地質学会(GSA)で米国イェール大のThomas教授に県境を依頼した(顕微鏡を持参した).その結果,試料は予想した白亜系ではなく,新生代の底生有孔虫であった.帰国後にさらに試料解析を進めたところ,すべての試料が新生代の者であった.これにより計画を変更し,28年に再調査を行うこととし,分析計画も延期した.ホーンビー島のノースアンバーランド層(カンパニアン階上部)から得た試料については,泥岩から微化石およびアンモナイトなどの化石片を得るための処理を進めた.一部の試料(アンモナイト化石片)については非常に保存状態が良く,酸素同位体比の分析を進めることができた.予察的ではあるが,ここから得た酸素同位体比古水温は安定して約20℃であった.
3: やや遅れている
グレアム島で採取した試料が,目標とした白亜系のものではなく,新生界のものであったため,27年度に予定していた分析ができなかった.グレアム島があるハイダグアイは,綿密な地質調査がなされておらず,露頭の位置も調査前には正確に把握できなかったことや,海岸の礫の分布によって露頭の状況が極めて変わりやすいことが目標の試料を採取できなかった原因である.
28年度に研究協力者のJim Haggart博士とともにグレアム島に赴き,地質調査を進めた(28年度の報告書を参照)その結果,試料中からアンモナイト,イノセラムス等の白亜系にしか産しない化石を得ることができ,約20の泥岩試料や石灰質団塊試料を得ることができた.これらの分析を進めることで,27年度の遅れを取り戻す.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
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