研究課題/領域番号 |
15H05233
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
山田 敏弘 金沢大学, 自然システム学系, 准教授 (70392537)
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研究分担者 |
海老原 淳 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究主幹 (20435738)
矢部 淳 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 研究主幹 (20634124)
LEGRAND Julien 中央大学, 理工学部, 助教 (60737534)
西田 治文 中央大学, 理工学部, 教授 (70156082)
朝川 毅守 千葉大学, 大学院理学研究科, 講師 (50213682)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 南半球 / ミズゴケ湿地 / 植物化石 / 珪化泥炭 / ナンヨウスギ / 始新世 / 白亜紀 |
研究実績の概要 |
本研究では,南米特異的な植物相の形成に,ミズゴケ湿地性植物群が重要な役割を果たしたとする仮説の検証を試みる。そのため,チリ共和国南部と中部において野外調査を実施し,以下のような成果を得た。 1)チリ共和国中部での調査(平成28年1月) チリ共和国BioBio地域Tome付近のCocholgue海岸に分布する上部白亜系キリキナ層および始新統クラニラウエ層について,地質調査と化石採集を行った。まず,クラニラウエ層中に見られる珪化泥炭層の成因を解析するため,珪化泥炭層の上下の層位から連続的に花粉分析用の岩石サンプルを採集し,現地から持ち帰った。予備的に花粉分析を行ったところ,珪化泥炭層および泥炭層近傍で,花粉群集に占めるミズゴケ胞子の割合が増加することがわかった。この結果は,泥炭層がミズゴケ湿地性であることを示唆する重要な証拠である。また,現地性の植物化石を豊富に含む珪化泥炭をブロックで採集した。一方,キリキナ層からも,植物化石を含む複数の石灰質コンクリーションを得た。
2.チリ共和国南部での調査(平成27年12月ー1月) 化石の珪化泥炭層と構造を比較するため,現生のミズゴケ湿地から泥炭ブロックを採集し,持ち帰った。また,Punta Arenas周辺で,漸新世~中新世の温暖期植物化石を採集し,植物化石の産状と堆積物の観察を行った。その結果,泥炭層中にEutacta節に属するナンヨウスギ科の種鱗,シュート,材などが密集して産出することが分かった。この産状はそれらの化石が自生的であることを示唆し,湿地が南米特異的植物相の逃避地となった可能性を支持するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
化石サンプルの輸出許可を得るのに予想以上の時間が掛かり,輸出が大幅に遅れた。そのため,採集した化石の分類学的検討に遅れが生じた。一方,輸出許可の必要ない岩石サンプルの解析,地質調査データの整理を中心に研究を進行させた結果,予定よりも順調にデータを得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
サンプルの輸出が遅れた結果,植物群全体についての分類学的検討がやや遅れることとなった。この点については,研究代表者および分担者の指導する学生を多数動員し,採集した化石の観察を推進することで,遅れを取り戻す。
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