研究課題/領域番号 |
15H05236
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
副島 顕子 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (00244674)
|
研究分担者 |
塚谷 裕一 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (90260512)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 系統分類 / 共生進化 / 形態形成 |
研究実績の概要 |
H27年度12月にボルネオ島のインドネシア領での野外調査採集を予定していたが,採集した植物サンプルを持ち帰るために必要な手続きとして,互いの機関同士で交わす必要のある契約締結に予想以上の時間がかかり,ビザ申請が間に合わず,予定を翌年度に繰り越すことになり,予算の繰越を行った. H28年度は繰越予算を利用して,4月にインドネシア領ボルネオ島にて調査採集を行った.野外での生態的な観察により,アリの植物利用様式についての知見を深めることができた.さらに,9月には関連するサンプルを得るために台湾にて調査採集を行い,同時に台湾の研究機関に所蔵される標本の調査も行った.形態形成遺伝子の解析においては,種子から育てた植物体を用いることで,対象種の葉原基からmRNAの調整に成功している.一方,H28年度8月に行った標本調査により,ボルネオ島マレーシア領での追加調査の必要が生じたので,H28年11月に予定していたボルネオ島インドネシア領での調査をH29年度に繰り下げて行うため,繰越を行った. H29年度は繰越予算を利用して,10月にボルネオ島インドネシア領での調査採集を行い,対象種と近縁と考えられる数種を発見.DNA用サンプルと,生の枝や種子の採集を行った.これまでにインドネシア,マレーシア,台湾から得られたサンプルを用いた分子系統解析を進めている他,近縁種との形態比較および系統的に離れているがよく似たアリ植物との形態および発生の比較を行った.形態形成遺伝子については,BOP相同遺伝子mRNAを用いた次世代シーケンサー分析をおこない,データの解析中である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
形態形成遺伝子の解析については,すでに次世代シーケンサーでの分析を行い,塩基配列に大きな変異はないことが示され,葉における発現について解析中である.一方,H29年8月の標本調査で,C. saccataの基準標本に,これまでボルネオ島インドネシア領から得られていたサンプルと異なる形態的特徴があることが判明した.そのためにH29年度予算の繰越を行い,H30年度にボルネオ島マレーシア領にある基準産地での調査を追加で行うことになり,研究計画全体として11ヶ月の遅延が生じることになった.
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに得られたサンプルを用いた系統解析を引き続き行うとともに,系統解析および遺伝子の比較解析に用いるサンプルを得るために,ボルネオ島マレーシア領サラワク州での調査採集を行う.H30年度末までに,サラワクで得られるサンプルを用いて,形態形成遺伝子の塩基配列の解析と発生段階における遺伝子発現についての解析を行い,特定遺伝子の進化について明らかにする予定である.
|