研究課題/領域番号 |
15H05238
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
森下 智陽 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90391185)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コケ / 地衣 / エストニア / アラスカ / カナダ |
研究実績の概要 |
これまで温室効果ガス動態の観測をおこない土壌呼吸速度およびメタン吸収速度について地点間差が明らかになってきたアラスカ州フェアバンクス市近郊のクロトウヒ林の調査区3地点(斜面上部、中部、下部)で、林床で優占する蘚類であるフェザーモス(主にPleurozium schreberiとHylocomium splendens)および地衣類(主にCladina属)の年間成長量をメッシュ法(2㎜)で測定した。2016年6月に観測を開始しており、伸長状況に応じて、2017年か2018年に刈り取りを行い伸長量の測定を行うことを予定していた。2017年7月に測定の様子を確認したところ、斜面中部および下部のフェザーモス2種については、測定が順調に進んでいたが、斜面上部では、動物によると思われる撹乱被害を受け、メッシュがはがされていたため、測定不能となった。 そこで、被害を受けづらい設置方法を検討するため、異なる方法(メッシュを林床に設置する際の留め金の素材、形状、本数を変える)でメッシュを再度設置した。設置から2か月後(2017年9月)にチェックしたところ、被害を受けづらい方法が明らかになったので、改訂法による測定を開始した。一方、地衣類については、年間伸長量が極めて小さい、あるいは2㎜のメッシュでは、メッシュ自体が伸長の阻害要因となっている可能性が考えられたため、同時期に目の粗い5㎜のメッシュを設置した。これら伸長量については、再来年末までに明らかになる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
アラスカ州フェアバンクス市近郊のクロトウヒ林において、林床に優占する蘚類の成長速度(年間成長量)の違いを斜面系列に沿って明らかにするために2016年に観測を開始しており、2017年にそれぞれの地点の年間成長速度が推定できる予定であった。しかしながら、「研究実績概要」で述べた通り、動物によると思われる撹乱を受けたため、一部推定が不可能となった。ただし、改訂法による測定の見込みが立ったため、やや遅れているとの判定結果とした。
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今後の研究の推進方策 |
昨年および一昨年に、アラスカ内陸部フェアバンクス近郊のクロトウヒ林において、コケ・地衣類の成長速度を測定するために設置したメッシュシートから、成長分のコケ・地衣類を採取して、年間成長速度および年間炭素・窒素固定量を推定する。さらに、この成長速度について、同林齢同一斜面内における違いとその要因を明らかにする。 また、これまでにアラスカ、シベリア、カナダ、エストニアにおいて採取したHylocomium splendens(イワダレゴケ)から、成長速度および分布パターンの地域間差について解析をおこなう。
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