研究課題/領域番号 |
15H05238
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
森下 智陽 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (90391185)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コケ / 地衣 / アラスカ / クロトウヒ |
研究実績の概要 |
これまで温室効果ガス動態の観測をおこない地点間差が明らかになってきたアラスカ州フェアバンクス市近郊のクロトウヒ林の調査区3地点(斜面上部、中部、下部)で、亜寒帯林において広く分布しており、本観測地でも林床で優占する蘚類であるフェザーモス(ダチョウゴケ(Ptilium-crista castrensis)、イワダレゴケ(Hylocomium splendens)、タチハイゴケ(Pleurozium shreberi))の年間成長量をメッシュ法(2㎜)で測定した。2016年6月初旬に観測を開始し、2018年5月下旬に刈り取り、成長速度を測定した。斜面下部・中部では見られず、斜面上部のみで見られたダチョウゴケの成長速度が157±26 g m-2 y-1と一番速かった。また、いずれの地点でも見られたタチハイゴケは、斜面下部(85±37 g m-2 y-1)よりも斜面中部(141±55 g m-2 y-1)と上部(134 g m-2 y-1)で成長速度が速い傾向が見られた。イワダレゴケについては、一個体あたりの伸長量は、斜面下部よりも斜面中部で大きかったものの単位面積当たりの成長速度には斜面下部(106±33 g m-2 y-1)と中部(106±31 g m-2 y-1)で違いが見られなかった。本観測により、3種のフェザーモスについて、種および斜面系列による違いが明らかになった。また地衣類については、成長量が少ないため、本年の採取はおこなわず、次年度に測定を持ち越すこととした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題で目的としているコケの成長速度の推定を計画通りに測定することができ、残りの研究期間内で、さらに成長速度の年次変化を推定できる見込みであり、地衣類の測定も行えるめどがたっているため、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
主にアラスカ州フェアバンクス市近郊とカナダ北西準州のクロトウヒ林において、林床に優占する蘚苔地衣類および各地下部の炭素・窒素蓄積量を定量的、定性的に明らかにする。本観測によって、亜寒帯林生態系における炭素・窒素循環について、林床の蘚苔地衣類が同一地域内あるいは地域間差におよぼす影響を温度および水分環境の違いから評価する。
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