研究課題
基盤研究(B)
周極域をとりまく亜寒帯林において、林床の蘚・地衣類は共通種が多かったが、被覆率や成長速度は地域間で大きく異なった。さらに、被覆率と成長速度が異なるアラスカ内陸部のクロトウヒ林の斜面上部、中部、下部において、温室効果ガスの放出・吸収量、有機物層中のモノテルペン濃度に地点間差が見られた。コケ等がモノテルペンの生成源と考えられ、林床の蘚苔地衣類の被覆状況の違いが炭素・窒素循環に影響をおよぼしていることが示唆された。
土壌学
北欧、シベリア、北米の亜寒帯林における調査から、林床におけるコケの成長量は、炭素蓄積そのものに大きく貢献していること、コケ・地衣類が生成源と考えられるモノテルペンは、炭素窒素循環過程の制御要因であることが示唆され、周極域亜寒帯林では、林床をびっしり多い、厚く堆積するコケ・地衣類が、炭素および窒素循環に量的にも質的にも大きな影響をおよぼしていることが明らかになった。