研究分担者 |
近藤 美由紀 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境計測研究センター, 研究員 (30467211)
金城 和俊 琉球大学, 農学部, 准教授 (30582035)
藤嶽 暢英 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50243332)
吉竹 晋平 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 助手 (50643649)
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研究実績の概要 |
本研究は、タイ王国チュラロンコン大学のグループによって生態学的な炭素循環研究が行われてきたトラート川河口のマングローブ林において、土壌炭素プールの定量的評価とその動態を比較生態学的に明らかにしようとするものである。本年度はトラート川マングローブ林の異なる三つの植生帯(川岸から内側に向かって、Avicennia 帯, Rhizophora帯, Xylocarpus帯)において、表層から深さ3.5 mまでの土壌コアをサンプリングして炭素プールの定量的評価を行った。土壌炭素量はAvicennia帯では926 ± 24.4 (SD) ton C ha-1, Rhizophora帯では1041 ± 50.3 ton C ha-1, Xylocarpus帯では1033 ± 123.5 ton C ha-1となり、Avicennia帯でやや小さくなった。さらに表層土壌 (0-30 cm) について、沖縄本島大浦川河口と石垣島吹通川河口のマングローブ林の土壌と比較する事によって、土壌炭素蓄積プロセスの違いについて検討した。炭素含有量はトラート川河口のマングローブ林で他よりも高くなり、これは大浦川と吹通川のマングローブに比べて、タイでは根に由来する炭素が多いことが原因であった。またNaOHとNa4P2O7で土壌を抽出すると、大浦川と吹通川のマングローブではほとんど insoluble Cであったが、トラートでは土壌に蓄積する炭素のほとんどが NaP-Cであった。また、土壌特性として土壌炭素の蓄積を制御する要因はそれぞれのマングローブ林で異なっていた。大浦川ではCa, シルトと粘土が土壌炭素蓄積のために必要であるが、吹通川とトラート川ではCaとMgが土壌炭素蓄積のために必要であることが分かった。
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