研究課題
2019年度も前年度までに引き続き、自切する植物の探索に努めた。これまでにすでに多くの植物で自切を確認しているため、大幅な追加はなかったが、新たに1つの科で自切を見つけ、さらにアカネ科では、すでに見つけていた属とは大きく系統的に離れた属で新たに自切を見つけることができた。また、東京大学の植物標本室に所蔵されている標本から、自切が起こる種と起こらない種を見分ける方法を確立し、ニシキギ属では互いに近縁な日本産の3種では自切が起こるが、他の5種では地域、時期によらず自切が起きていないと考えられることが分かった。自切が起きる種と起きない種は同所的に生育することも多く、どのような要因が近縁種間での自切の起きる・起きないを決めているのかという、新しい課題の発見につながった。また、前年度までに引き続き、自切を引き起こす菌の同定を進めた。どのような刺激や物質が自切の引き金となるのかを現時点でまだ十分に明らかにできていない点が悔やまれる。また、植物の葉における新しい防御機構の探索という観点から、昨年度までに研究を開始していたハクサンカメバヒキオコシの葉の形の役割に関して大きな進展があった。ハクサンカメバヒキオコシには、ムツモンオトシブミという植食者がつくが、ハクサンカメバヒキオコシの葉の顕著な切れ込みは、オトシブミの成虫による葉の加工を妨げ、食害率を抑える役割があることを明らかにし、成果をNature Plants誌で発表した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件) 備考 (1件)
American Journal of Botany
巻: 104 ページ: 164-170
10.1002/ajb2.1412
Nature Plants
巻: 5 ページ: 959-964
10.1038/s41477-019-0505-x
https://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/common/research/kawakita-lab/Japanese/home.html