研究課題/領域番号 |
15H05242
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今井 啓雄 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (60314176)
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研究分担者 |
三上 章允 中部学院大学, 公私立大学の部局等, 教授 (40027503)
河村 正二 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (40282727)
辻 大和 京都大学, 霊長類研究所, 助教 (70533595)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 味覚 / 霊長類 / 嗅覚 / 視覚 |
研究実績の概要 |
新技術を用いて各種霊長類の採食品目選択に対する分子的・生理学的基盤を解明することを進めている。本年度は、以下の研究を実施し、様々な学会・論文等で発表した。 今井は、インドネシアのコロブス類の苦味受容体TAS2Rの配列解析、機能解析、行動実験を実施した。TAS2R38については、4種のコロブス類すべてで機能が減弱していることが示された。また、すべてのTAS2Rについて分子進化解析を行った結果、TAS2Rの種類によって選択圧が異なることが示唆された。 三上は、標準色ボードと写真を用いた植物色の判定方法について試行実験を行うとともに、前年度に取得したスペクトロスコピーのデータを解析し、サルが採食する殆どの植物で色以外の手掛かりがあることを明らかにした。また、8月に連携研究者が所属するボゴール農科大学を訪問し、パンガンダランで取得したデータの共同発表について意見交換をした。 河村は、色覚型と食性の多様な新世界ザル全3科から6種を対象に、ターゲットキャプチャーと次世代シークエンシングにより、苦味受容体(TAS2Rs)と旨味甘味受容体(TAS1Rs)遺伝子の全レパートリーを明らかにした。TAS2Rsは中立対照に対して塩基多型度が、特に非同義変異で高い傾向にあり、苦味感覚の多様化進化が示唆された。これら6種の新世界ザルのTAS2R16とTAS2R38を培養細胞系で再構成したところ、苦味物質に対する反応性に種間で顕著な違いが見られた。一方、TAS1Rsは機能制約が緩んでいる傾向がみられ、タマリン属では旨味受容体TAS1R1が偽遺伝子化していた。 辻は、2016年8-9月と2017年2月にパガンダラン自然保護区を訪問してジャワルトンの行動観察を実施するとともに、遺伝子資料を収集した。並行して、過去に採集した他の動物(ルサジカ、ヒヨケザルなど)の糞・死体資料の分析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国際共著論文等も出版されているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、国際共同研究を続けながら世界各地の霊長類の感覚についての研究を推進する。
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