研究課題
世界各地の霊長類が採食する植物の性状と色覚・味覚・嗅覚の関係について、各霊長類個体の採食品目やアクティビティに対する調査と、受容体の配列・機能との比較解析を行った。まず、コスタリカの新世界ザルの採食果実の匂い成分の分析と、新世界ザルと旧世界ザルの味覚・嗅覚受容体遺伝子レパートリーの共通性と相違性についての解析を行った。野生のシロガオオマキザル(Cebus imitator)の行動観察と、その採食果実の色度及び匂い物質の測定の統合を試みた結果、匂い嗅ぎ行動の頻度と果実の成熟に伴う匂い総量の増加に正の相関があることを明らかにした。また、2色型色覚個体は3色型色覚個体よりも頻繁に匂い嗅ぎを行い、色覚の不利を補う戦略をとっていることを明らかにした。また、インドネシアの野生ヒヨケザルのロコモーション並びに土地利用に関する研究を行った。さらに、ジャワ島のジャワルトンとスマトラ島のシルバールトンのアクティビティと食性を異なる性・年齢クラスで比較し、論文としてまとめた。ジャワ島のカニクイザルと比較のためスマトラ島・パダンのカニクイザルの採食と色環境を調査した。インドネシア・ジャワ島・パンガンダランの色盲遺伝子キャリアのメスザルで4色型色覚の有意性について確認し論文とした。これらのフィールド調査に加えて、化学感覚受容体発現細胞に採食植物の関連物質を添加し、受容体の活性化による細胞内情報伝達の様子をカルシウムイメージング法により解析した。苦味受容体についてはTAS2R10, 14, 16,38、甘味受容体についてはTAS1R2/TAS1R3などのヒトでリガンドが既知の受容体について、各種霊長類の受容体の反応性を比較解析した。アジア産コロブス類の甘味遺伝子の解析並びに行動実験により、彼らが甘味の感受性が低いことを発見した。また、苦味受容体についても全体としてヒトよりも感受性が低い傾向にあった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 8件、 招待講演 5件)
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