研究課題
「緑の革命」によって過去50年間に普及した多投入型集約農法の水田土壌への影響を定量的なデータによって明らかにするとともに、ポスト緑の革命に向けて、熱帯アジア水田のもつ稲作生産力を再評価することを研究目的として、3年目である2017年度は、2年目に実施したフィリピンの土壌分析の結果から、フィリピンの水田土壌肥沃度の地域別定量評価と50年前との肥沃度レベルの変化に関する解析を行った。また、熱帯アジアのうち、経済発展が大いに進み集約農業の実施が十分可能な状況にあるマレーシアと経済発展があまり進まず集約化が遅れがちなバングラデシュにおいて、およそ50年前の土壌調査の追跡調査を実施した。すなわち、2017年の9月および11月にマレーシア出張を、2017年5月および9月にバングラデシュ出張をそれぞれ行い、50年前の調査地のうち現在でも水田の残るそれぞれ32地点、29地点において、水田土壌表層土の試料採取を行い、あわせて現状を管理の面から解釈するために、現在の土壌管理・肥培管理について当該圃場の農家へのインタビューを実施した。また、採取した土壌試料について、50年前のKawaguchi & Kyuma (1977)と同一の手法を用いて、土壌肥沃度の一般分析(pH、EC、全炭素、全窒素(湿式分解法)、可給態リン(ブレイ準法)、交換性塩基(酢安抽出法)、交換酸度(滴定法)、粒径組成(ピペット法)、粘土鉱物組成(XRD法))を随時進めた。さらに、同一土壌を用いて中・近赤外分光特性の分析を行い、上記一般理化学性を中・近赤外分光特性による推定も実施し、その有用性を検討した。その結果、3年間の研究を通じて、タイ、フィリピン、マレーシア、バングラデシュの水田土壌の「緑の革命」後50年での肥沃度特性の変化が定量的に明らかとなった。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Soil Science and Plant Nutrition
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doi.org/10.1080/00380768.2017.1402660
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