研究課題/領域番号 |
15H05251
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
北村 真一 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 准教授 (40448379)
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研究分担者 |
広瀬 裕一 琉球大学, 理学部, 教授 (30241772)
柳田 哲矢 山口大学, 共同獣医学部, 准教授 (40431837)
仲山 慶 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, 講師 (80380286)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マボヤ被嚢軟化症 / Azumiobodo hoyamushi / 防疫対策 |
研究実績の概要 |
本課題では,韓国の養殖場をフィールドとして以下の二つの防疫対策に取り組んでいる。一つ目に養殖業者が現場で迅速に本症を診断するための簡易診断法の確立を目指している。二つ目に,本症の原因鞭毛虫であるAzumiobodo hoyamushiは韓国の汚染種苗を介して日本に拡散したと考えられているため,本虫の集団遺伝学的解析を行い,種苗の移動リスクを明確にすることを目的としている。 簡易診断法として,フォースゲージによる被嚢強度測定法および被嚢塗抹標本の検鏡法を候補とし,分子生物学的手法であるリアルタイムPCRと比較する。韓国産発症個体・健常個体の被嚢をフォースゲージで被嚢強度を測定したところ,軟化個体と健常個体で差が認められ,40N(被嚢を突き破るのに必要な力)以下を発症個体とすることができた。次に,同じサンプルを用いて被嚢をスライドガラスに塗りつけ検鏡した。その結果, 40N以上の個体でも原因鞭毛虫が観察された。今後は,リアルタイムPCRと検鏡法でどの程度の感度差があるのかを調べる予定である。 マイクロサテライトマーカーの検討には,韓国産ホヤムシを1株,日本産ホヤムシを3株使用した。リボソームRNA遺伝子(rDNA),Glucose-6-phosphate isomerase(GPI),Glycosomal glyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase(gGAPDH)については,一部領域の塩基配列を決定し,株間での比較を行った。rDNA,GPI,gGAPDHの塩基配列をホヤムシ株間で比較した結果,変異が小さく,種内変異の検出には不適であると考えられた。一方,12個のマイクロサテライトマーカーのうち11個については株間で多型性が確認された。今後は,これらのマイクロサテライトマーカーを用いて,日韓両国におけるホヤムシの遺伝的構造解析を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定したサンプリングおよび実験については順調に進んでいる。 現在のところ,大きな問題は見当たらない。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ,本課題を推進するにあたり大きな障害は見当たらない。昨年度と同様に,研究グループ間で綿密な打ち合わせを行う。本研究グループは愛媛大・琉球大・山口大と距離的に離れた大学教員で構成されていることから,本年度もウェブを会議に活用する。
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