研究課題
ベトナム中部沿岸農業地帯では地下水のNH4-N濃度が高い原因として,野菜栽培が盛んであること,家庭排水,し尿処理,家畜ふん尿処理が不十分であること等が考えられる.本研究では,現地研究者と協働し,現地の地下水汚染機構を解明する.2017年度は,地下水のNH4-N濃度が高いQuang Thanh社にて深さ240 cmまで深層土を調査した.作土から溶脱したNO3-Nは深さ140 cm以深で完全に消失するものの,同層に異化型硝酸還元アンモニア生成(DNRA)遺伝子nrfAは検出されず,NO3-Nの消失は脱窒によるものと推察された.同層土壌を用いた嫌気培養試験で,有機物の無機化によりNH4-Nが微増したこと,ならびに,深層の土壌全窒素,土壌NH4-N,地下水NH4-Nの窒素安定同位体比はおおむね一致したことから,地下水のNH4-Nは土壌由来である可能性が高いと結論づけられた.16S rRNAアンプリコンシーケンス法を用いて深層土の微生物叢解析を行ったところ, Proteobacteriaが主に優占するが,深度により微生物構成が異なっていた.表層部ではBacteroidetesやFirmicutes,深くなるにつれてCloroflexiやNitrospiraeも優占度が高くなった.また,一部の農地ではメタン生成に関与するCrenarchaeotaも優占度が高かった.対象市域における水循環を表す数値モデルを,Shuttle Radar Topography Mission(SRTM)による数値標高データとGoogle Mapによる地形図を基に地理情報システム(GIS)によって集積した流域地理情報に基づいて構築した.この水循環モデルを,現地で収集した水文データに適用して地下水観測点における地下水変動パターンの再現を試み,対象地域における地下水流動と,窒素等の物質の挙動を再現するための基礎的知見を得た.
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Communications in Soil Science and Plant Analysis
巻: 印刷中 ページ: 1-14
10.1080/00103624.2018.1435796
Journal of Environmental Science for Sustainable Society
巻: 8 ページ: 22-31
10.3107/jesss.8.22
http://www.eme.okayama-u.ac.jp/Sections/Lithosphere/lithosphere.html