研究課題/領域番号 |
15H05258
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
高須 正規 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (00503327)
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研究分担者 |
高島 康弘 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20333552)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | バングラデシュ在来牛 |
研究実績の概要 |
平成28年度は,バングラデシュ在来牛,Pabnaからのサンプリングを計画していた。しかし,ダッカで日本人を含む外国人を狙ったテロの発生から,渡航を中止せざるを得なかった。そこで,平成28年度は,1) 現地研究者へのサンプリングノウハウの伝達,2) North Bengal GreyならびにDeshiを含むサンプルのマイクロアレイ解析,3) バングラデシュにおける畜産の現状把握を進めた。 まず,サンプリングノウハウの伝達のために現地研究者を招へいする日程等の調整を行った。招へい対象者の選定ならびに日程調整が難しく,28年度の来日は困難であった。しかし,平成29年度にラジシャヒ大学の研究者を招へいすることが決まった。 次に,マイクロアレイ解析を進めた。ここでは,North Bengal GreyならびにDeshiを中心に58検体を解析した。トータル58サンプルのうち,18検体のcall rateが0.95未満であり,解析に適さなかった。ここで,「研究の遂行のためには,マイクロアレイ解析を実施できる質のサンプルを採取しなければならない」という課題が浮き彫りとなった。 マイクロアレイ解析では,North bengal GreyならびにDeshiにおいてTF_2遺伝子における多型が多く認められた。また,これらの品種では,ガゼインなどの乳質に関わる遺伝子に多型があることが明らかになった。 さらに,バングラデシュ在来牛を取り巻く,畜産の現状把握を進めた。バングラデシュ・ラジシャヒ管区農村の獣医診療所のカルテの調査から,出生する子牛の死亡率が高いことが明らかになった。また,現金収入となるミルク生産目的にバングラデシュ在来牛と外来品種との交配が進んでいることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概要でも示したとおり,平成28年度にバングラデシュへ渡航することはできなかった。治安の悪化に伴う研究遂行の困難さは予想されていたため,研究を継続するための方策として,現地研究者自身でサンプリングを遂行できるシステムの構築を試みた。
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今後の研究の推進方策 |
バングラデシュは依然として治安が安定していない。このため,研究を継続するための方策として,現地研究者自身でサンプリングを遂行できるシステムの構築を試みる。平成29年度には現地研究者を招へいし,サンプリングノウハウを習得いただく。また,こまめに現地カウンターパートと連絡を取り合い,時々の状況にあった研究の遂行を目指す。 平成29年度は,Pabna種とMunshigonj種,可能ならばRed Chittagong種からのサンプルを採取する。日本人研究者もしくは現地の研究者がそれぞれの在来牛が飼育されている地域に赴き,在来牛の飼養頭数,飼養環境,形態学的特徴などを精査する。ここで,それぞれの在来牛のサンプルからDNAを採取し,マイクロサテライト等のタイピングを進める。これまでの実績から,サンプルの質が十分と言えないこともあるため,必要に応じ,日本の研究者によってDNAサンプルの再精製を試み,解析を進める。 これまでの調査から,バングラデシュ在来牛は現地の疾患に対する抗病性が高い等,現地の環境に適応できる生物学的特徴があることが明らかになった。これを獣医学的なアプローチで精査し,遺伝子資源として重要なバングラデシュ在来牛の理解をすすめる。
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