研究課題/領域番号 |
15H05267
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
川島 知之 宮崎大学, 農学部, 教授 (10355068)
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研究分担者 |
犬伏 和之 千葉大学, 園芸学研究科, 教授 (00168428)
泉 太郎 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 農村開発領域, 主任研究員 (10725360)
荻野 暁史 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門, 主任研究員 (70355098)
鈴木 知之 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (70391175)
宝川 靖和 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 生産環境・畜産領域, 主任研究員 (90353549)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 温室効果ガス / バイオガスダイジェスター / LCA / 稲作 / 肉牛 |
研究実績の概要 |
水田グループでは50軒の稲作農家の各作期の稲ワラの管理様式の聞き取り調査結果と農家圃場での温室効果ガスの測定結果を整理し、稲ワラ利用に由来する温室効果ガス発生量を定量評価した。また、ウシの糞尿を利用したバイオガスダイジェスターの消化液施用による稲の栽培試験実施に向けて、現地農家の合意を得た。 畜産グループでは乾燥稲ワラか生稲ワラ、あるいは乾燥ビール粕か生ビール粕を配合したTMRもしくは発酵TMRを調製し、在来去勢牛に給与しメタンの発生量を調査した。乾燥稲わらか生稲わらを配合したTMRと発酵TMRでは、メタン産生量に差は認められなかった。生ビール粕を配合した発酵TMRを給与した牛では、乾燥ビール粕給与に比べて、メタンの産生量が有意に低下することが示された。 バイオガスグループでは肉牛農家で、肉牛の排せつ物の投入量とバイオガスの発生量を5日間に亘り調査した結果、排せつ物(乾燥重量)当たりのバイオガス発生量は1日当たり約170 L/kg程度であることが示された。バイオガス燃焼効率の改善のために調理用コンロの改良を行った。具体的にはバイオガスと空気の合流地点(混合部)の構造を工夫することで、空気の流速を増し、負圧を発生させ、バイオガスの供給がスムーズに行われるようにして、調理用コンロを試作した LCAグループでは肉牛農家の調査を実施して、肉牛の飼養管理と飼料作物栽培に関する情報を整理した。農家は全28軒で、繁殖 (6軒)、肥育 (16軒)、繁殖と肥育の両方を行う農家 (6軒)に分類された。また、肉牛の成長曲線を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水田、畜産、バイオガスグループそれぞれで、温室効果ガスのモニタリングとそれに関連する調査を計画とおりに進めている。LCAグループでは、水田ならびに肉牛の専業システムにおけるLCAを行うに十分なデータを入手しており、複合システム構築のための調査も進めており、順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
水田グループでは現地農家水田での有機質肥料使用実態調査を行うとともに、現地圃場試験の一環として、牛飼育農家においてポット試験を実施する。収量・温室効果ガス発生量に着目し、消化液等の家畜排泄物の利用とAWD節水灌漑の相互作用を評価する。 畜産研究グループでは、稲ワラとビール粕を混合したサイレージの発酵品質調査と、稲ワラと、メタン抑制効果の期待できる飼料資源を給与よるメタン抑制効果を実証する。 バイオガスグループでは肉牛農家におけるモニタリング(原料供給量、ガス発生量・成分、ガス使用量、消化液の量・成分)を開始するとともに、調理用コンロを含むバイオガス発生装置の改良および他用途利用の検討を行う。 LCAグループでは今年度得られたデータの補間および信頼性を高める目的で、追加の農家調査を行うとともに、水稲生産および肉牛生産専業システムのLCAモデルを構築する。
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