研究課題
本研究は、世界有数の稲作地帯であるメコンデルタにおいて、今後肉牛生産が急速に伸びることを想定し、水田、肉牛生産、バイオガスに関するそれぞれの緩和策を融合させることで、生産される食料あたりの温室効果ガス発生量を最小化しつつ、食料の増産と生計向上を達成しうるシステムを構築し、包括的な環境影響評価によりその有効性を実証することを目的とする。水田分野について、ベトナム・メコンデルタの典型的な牛飼養農家の使用するバイオガス発生装置から排出される消化液が化肥尿素に代わる窒素肥料として水稲作に利用可能であることを示した。現地水田土壌を充填したポットに化成尿素に代えて消化液を用いて水稲を栽培したところ、化成尿素と比較して遜色のない籾収量が得られた。LCAに関して、メコンデルタ地域の肉牛および水稲農家調査を実施し、水稲および肉牛LCAモデル構築に必要なデータの収集を行った。得られたデータを基に、水稲および肉牛LCAモデルを構築した。構築したモデルを用いて水稲および肉牛専業システムのLCAを行い、それぞれの温室効果ガス (GHG)排出量を明らかにした。また、専業システムのLCAモデルに耕畜エネルギー複合システムのための各種技術の効果を追加して複合システムLCAモデルを構築し、複合システムのGHG削減効果を明らかにした。複合システムは専業システムと比較してGHG排出量が25%低く (157 vs 209 tCO2e/FU)、主として複合システムの水稲生産におけるGHG低減が寄与していた。これは今回、稲わらの量から水田面積あたりで飼養できる肉牛頭数を求めて機能単位としたところ、肉牛生産頭数に比べてコメの生産量の方がかなり多いためと考えられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Animal Science Journal
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