研究課題/領域番号 |
15H05269
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
徳元 俊伸 静岡大学, 理学部, 教授 (30273163)
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研究分担者 |
小谷 真也 静岡大学, 農学部, 助教 (20510621)
鈴木 款 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (30252159)
CASARETO Beatriz 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (60402244)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 天然資源 / ホルモン活性物質 / ステロイド膜受容体 |
研究実績の概要 |
申請者らはモーリシャスサンゴ礁海水中に含まれる新規ステロイド膜受容体作用性の天然ホルモン活性物質の存在を始めて検出することに成功した。さらに、そのホルモン作用を細胞レベルで検出できるセルベースアッセイ法を世界に先駆けて開発した。これらの一連の研究成果に基づき本研究は以下の2つの事項を目的とする。 (1)モーリシャスサンゴ礁海水中からの天然ホルモン活性物質の単離・構造決定 (2)生物学的手法を用いた天然ホルモン活性物質の作用機序の解明 本年度は天然ホルモン活性物質の季節変動を調べるためモーリシャスの冬季にあたる7月から8月にかけて、夏季となる3月にサンプリングを実施した。また、物質の同定に向けサンプリングの多量化を図った。多量化については濃縮用のカートリッジのサイズ変更はせず、送液ポンプの台数を増やすことで対応した。それにより目標であった海水1000Lからの物質の濃縮を達成できた。サンプルを日本に持ち帰った後、活性物質を溶出し、溶出画分の活性を確認した後、HPLCによる分離を行った。HPLCのピーク画分については活性を調べるとともに質量分析を行いピーク成分の分子組成を明らかにした。その結果、活性物質は夏季には存在し、冬季には存在しないことが明らかになった。HPLC画分にも活性が検出され、やや疎水性の高い物質であることが分かった。また、冬季と夏季では海水中の溶存物質の種類が大きく異なることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は冬季と夏季でサンプリングを行い、溶存物質の季節変動についての情報が得られた。活性物質は予想通り夏季にみられることが明らかになり、今後は夏季のみにサンプリングを行うよう計画することとした。HPLCによる分画後も活性が検出できたことは大きな前進であった。これにより物質の存在量の推定が可能となりサンプリング量など、より詳細な計画が立てられるようになった。
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今後の研究の推進方策 |
より詳細な解析が必要ではあるが、活性画分に含まれている物質量はあまり多くは無いことが明らかになった。そのため、構造解析のためにはより多量のサンプリングが必要になる。次年度以降は夏季に集中してより長期間のサンプリングを実施する。今年度のサンプルについてもHPLCによる再分画を行い、活性画分の成分分析を進める。これにより構造決定に向けた取り組みを開始する。
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