研究課題
本研究の目的は、ゲノム情報を用いて結核症の感受性遺伝子を探索するとともに、それを診断および治療に繋げることである。東京大学の研究チームは、理化学研究所、結核予防会、タイ保健省医科学局、インドネシア・ヤルシ大学等のアジアの研究チームと共同研究ネットワークを形成している。本研究計画では、多因子疾患の感受性遺伝子探索の為の新たな統計解析法を開発するとともに、国際結核人類遺伝コンソーシアム(International Tuberculosis Human Genetics Consortium: ITHGC)のゲノムデータを活用して集団間の違いを考慮した結核症の遺伝要因の解明を目指す。平成29年度は、新たな統計解析法開発として、ゲノム上で離れた複数遺伝子によるハプロタイプが自己免疫疾患に関連する報告に注目し、1Mb以上離れた複数遺伝子が関与するハプロタイプを集団毎に網羅的に解析する手法を開発した。人類遺伝学分野で保有するゲノムワイド関連解析(GWAS)データを活用して解析した結果、6番染色体のHLA領域を含め様々な染色体部位にハプロタイプが検出され、その頻度は集団特異的であった。そして、原発性胆汁性胆管炎(Primary biliary cholangitis:PBC)のGWASデータから、PBCと関連する2つのハプロタイプを同定した。本成果を日本人類遺伝学会で発表し論文化を進めている。また、11月にITHGCの会議を東京で行い、一塩基多型(SNP: Single Nucleotide Polymorphism)毎の国際メタ解析から新しい結核症感受性遺伝子領域を同定した成果について論文化を進めている。並行して、抗結核薬による肝障害に関して、我々自身が収集した日本人・タイ人・インドネシア人各集団のサンプルにおけるGWASならびに国際メタ解析を実施し、その成果の論文化を進めている。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件、 招待講演 3件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件)
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