研究課題
マラリアは今もなお世界中で猛威を奮う感染症である。その病態は宿主の免疫応答との相互作用もあり非常に多彩であり、マラリアの予防・治療の開発には病態の理解は不可欠である。我々はこれまでにマウスモデルを用いてマラリアの免疫病態についての研究を進めてきた。近年、腸管寄生性蠕虫のマラリアへの影響、さらにはマラリアの病態における腸内細菌の影響など、マラリアと腸管の関連性の明らかにしてきた。本研究では、これらのマウスモデルで得られた知見がヒトにおいても見られるかをウガンダでのマラリア患者を対象として検討することを目的とした。平成29年度までに得られたウガンダの重症および軽症マラリア患者、健常ボランティアの糞便および血液サンプルの解析を行った。得られた160ほどの糞便サンプルからDNAを抽出し、それをテンプレートとして全ての細菌の16S rRNAをコードする遺伝子を増幅し、次世代シークエンサーで解析、その配列に基づき腸内細菌叢の網羅的解析を行った。マラリア患者では、健常人と比較して、腸内細菌にエンテロタイプの変化など大きな変調がみられ、特に重症患者で顕著であった。治療後2週間後の回復期の糞便中の腸内細菌は健常者に近づいていた。これらのことから、ウガンダのマラリア患者においても腸内細菌に変調がみられること、重症度に応じてその程度も大きくなることが示唆された。さらに、免疫応答との関連性を検討するために、血液中のサイトカイン等の炎症性蛋白質をビーズアッセイで網羅的に解析した。腸内細菌の変調に伴って、増加/減少する蛋白質を同定することができた。
平成29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Infection and Immunity
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