研究課題/領域番号 |
15H05275
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
山本 雅裕 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00444521)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | トキソプラズマ原虫 / 中国 / 遺伝子多様性 / 病原性因子 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本に向けて非常に多くの食肉を生産している中国におけるトキソプラズマ原虫の遺伝的クレードを解析することにより、特異的な遺伝子変異と病原性因子を同定することを目的としている。該当年度は、中国の共同研究先で中国固有のトキソプラズマ原虫株よりDNAを単離し、送られてきたDNAサンプルを用いて解析を行った。ゲノム配列を読む前に送付されてきたDNAの原虫DNA純度について検討したところ、大量の宿主由来DNAが混在しており、このような状況ではトキソプラズマ原虫由来のDNA配列を読むことは困難であったため、まずトキソプラズマ原虫DNAの純度を上げるための条件検討を中国の共同研究先と話し合った。トキソプラズマ原虫は細胞内寄生生物であることから、宿主細胞の混入は必然であるが、培養細胞で増殖が可能であれば混入を軽減できると考え、培養細胞を用いた原虫増殖系を検討した。しかし、現在他の実験に使用しているトキソプラズマ原虫株の培養細胞で増える諸条件では中国特有株は増殖せず、また、様々な培養条件を検討しても中国特有株は培養細胞を用いた系では増殖させることができなかった。そこで、培養細胞での増殖を諦め、マウス生体内での増殖に変更した。中国固有トキソプラズマ原虫である2株のうち、1株は免疫系が低下しているマウスでないとマウス腹腔内で増殖できなかったことから、野生型マウスでも腹腔内で増殖することのできる1株を用いて、マウス生体内でトキソプラズマ原虫を増やし、より純度の高い原虫DNAを得られる系の構築を試みる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では中国の共同研究者から送られてくるDNAを直接ゲノム解析に使用できると考えていたが、実際は宿主由来の染色体量がトキソプラズマ原虫の染色体量よりも膨大なため、ごくわずかな宿主細胞の持ち込みでもトキソプラズマ原虫DNA量と同等もしくはより多くのDNA量となってしまうことが明確となり、トキソプラズマ原虫DNAの精製度の向上が強く求められている。
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今後の研究の推進方策 |
中国の共同研究者とより密に連絡を取り、宿主細胞の混入を可能な限り減少させてトキソプラズマ原虫のゲノムDNAを単離・精製する方向を模索する。
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