研究課題/領域番号 |
15H05280
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
切替 照雄 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (50192563)
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研究分担者 |
多田 達哉 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (00624644)
仲佐 保 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (10517329)
秋山 徹 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (20246466)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 薬剤耐性菌 / ESBL / メタロ-β-ラクタマーゼ / 16S rRNAメチラーゼ |
研究実績の概要 |
多剤耐性菌の新興が地球規模で医療の安全を脅かしている(WHO, 2014)。ミャンマーの医療施設では多剤耐性菌の蔓延が危惧されているが、その実態は全く明らかになっていない。多剤耐性菌の監視および解析のための研究拠点を構築することは、ミャンマーの感染対策の最重要課題の一つである。本研究の目的は、これまで全く報告されていないミャンマーの医療施設における薬剤耐性因子を同定し、多剤耐性グラム陰性菌の実態を明らかにし、さらに全ゲノム解析による分子疫学の有効性を実証することである。 平成28年度はその第一歩として、ミャンマーの国立衛生研究所(National Health Laboratory)およびヤンゴン総合病院(Yangon General Hospital)と共同で多剤耐性グラム陰性細菌の分子疫学解析を実施した。薬剤耐性グラム陰性菌107株を分離、収集し、菌種同定を行った。さらに、最小発育阻止濃度の決定し、次世代シーケンサーで全ゲノムを決定した。その結果、β-ラクタム系薬を効率的に分解するESBLやメタロ-β-ラクタマーゼをコードする遺伝子が検出された。また、アミノグリコシド系薬に高度耐性を付与する16S rRNAメチラーゼも検出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請者は共同研究を実施しているミャンマーのNational Health Laboratoryの共同研究者との良好な関係を保ち、ミャンマーサイドの薬剤耐性菌収集が非常にスムーズに行われている。また、収集株の解析結果から、ミャンマー特有の流行性薬剤耐性因子の実態が明らかになりつつある。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度も引き続き、ミャンマーサイドとの密なコミュニケーションを図りつつ、菌株の分離、収集を実施し、その菌株を日本に輸送する。日本では申請者の所属する機関では菌種同定、最小発育阻止濃度の決定およびゲノム疫学解析を実施する鵜。さらに、その解析結果を基に、同定した薬剤耐性因子の結果に基づいて蔓延している薬剤耐性因子を迅速に判定できるDNAクロマトグラフを作製し、そのキットをミャンマーの国立衛生研究所に導入し、ヤンゴン総合病院で分離される臨床分離株を用いて臨床評価試験を行う。
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