研究最終年度となる2018年にはこれまでモンゴルで集めてきたデータをまとめている。本課題が始まる前の2013年から2017年までに10855名の研究参加者を集めることが出来た。その中で4シーズンで465例のA型インフルエンザ例と132例のB型インフルエンザ例を検出したが、年齢階層別に検討した外来でのインフルエンザ罹患率では1-4歳が最も多く、学童での罹患率が低いことが明らかとなった。さらに解析を進める予定だが、我が国でもみられるように未就学児におけるインフルエンザの流行が地域の流行の一因になっている可能性が示唆されると考えられる。 またフィリピンにおける小児肺炎のデータを利用して呼吸器ウイルスの1つであるRSウイルスの家庭内感染における発症間隔(1例目と2例目の発症日がどのくらい離れているのか)についてインフルエンザでのモデルを応用して検討したところ、平均で3.2日とインフルエンザと近似したものであることが分かった。地域における特定の集団が与えるインフルエンザを初めとする急性ウイルス性呼吸器感染症の流行動態を把握することはその対策に重要であると考えられる。
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