研究課題
ダイオキシン類(DXN)の人体影響に関して、我々は2002 年以降ベトナムで疫学調査を継続し、1)枯葉剤暴露より30 年以上経過しても、汚染地区の母乳中DXN 濃度は対照地区より有意に高い。2)母乳中DXN と母親の血清・唾液中ステロイドホルモン(SH)や児の唾液・血液中のSH との間に7歳まで関連性を認めた。本研究の目的は、1)継続中のコホート研究より、母乳中DXN の児の唾液中SHへの影響を明らかにする。2)タンデム法によるSH の精密分析をベトナム国内で確立する。3)母乳中のDXN 以外の残留性有機汚染物質(POPs)を計測し、複合汚染の実態を解明する。本研究により、唾液中SH の環境疫学研究における有用性を示し、DXN 暴露等による早期健康影響指標として普及させる。また、コホート研究により小児の成長や二次性徴への影響を継続的に解明する。平成29年度には、DXNのホットスポットであるBinh Dinh省Phu Catで追跡中の9歳児49名中49名、Ho Chi Minh市に隣接するBien Hoa市で追跡中の7歳児40名中27名、対照地区であるハノイ近郊のKim Bangで追跡中の9歳児51名中47名、計123名の小児より血液を(Bien Hoaでは唾液も)採取し、成長状況を身体計測と質問紙調査・診察により確認した。上記の生体試料は、日本に移送し、国立環境研究所で現在SHの測定準備中である。昨年までの調査結果については、2017年8月にカナダ・バンクーバーで開催された第37回ダイオキシン国際会議で発表した。また、2018年3月には日本衛生学会において、これまでの結果を5歳児と7歳児に分け、SHの影響を中心に報告した。
2: おおむね順調に進展している
平成29年度には、DXNのホットスポットであるBinh Dinh省Phu Catで追跡中の9歳児49名中49名、Ho Chi Minh市に隣接するBien Hoa市で追跡中の7歳児40名中27名、対照地区であるハノイ近郊のKim Bangで追跡中の9歳児51名中47名、計123名の小児より血液を(Bien Hoaでは唾液も)採取し、成長状況を身体計測と質問紙調査・診察により確認した。上記の生体試料は、日本に移送し、国立環境研究所で現在SHの測定準備中である。昨年までの調査結果については、2017年8月にカナダ・バンクーバーで開催された第37回ダイオキシン国際会議で発表した。また、2018年3月には日本衛生学会において、これまでの結果を5歳児と7歳児に分け、SHの影響を中心に報告した。
平成30年度は、本研究の最終年度であり、1つには昨年調査したダイオキシンのホットスポットの1つであるBien Hoaの7歳児の対照群であるKim Bangの7歳児を対象にして、唾液と血液の採取、身体計測・質問紙表による調査を実施する。これまでの研究で明らかにした結果をポーランドで開催される第38回ダイオキシン国際会議で発表する。また、ベトナムにおいても、共同研究機関であるハノイ医科大学と合同で発表会を行う。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
Science of the Total Environment
巻: 607-608 ページ: 32-41
10.1016/j.scitotenv.2017.06.264
http://square.umin.ac.jp/k-chiiki/kido/index.html