研究課題
ダイオキシン類の人体影響に関して、我々は2002 年以降ベトナムで疫学調査を継続し、1)枯葉剤暴露より30 年以上経過しても、汚染地区の母乳中ダイオキシン濃度は対照地区より有意に高い。2)母乳中ダイオキシンと母親の血清・唾液中ステロイドホルモンや児の血清・唾液中のステロイドホルモンとの間に7歳まで関連性を認めた。本研究の目的は、1)継続中のコホート研究より、母乳中ダイオキシンの児の血清・唾液中ステロイドホルモンへの影響を明らかにする。2)タンデム法によるステロイドホルモンの精密分析をベトナム国内で確立する。3)母乳中のダイオキシン以外の残留性有機汚染物質(POPs)を計測し、複合汚染の実態を解明する。本研究により、唾液中ステロイドホルモンの環境疫学研究における有用性を示し、ダイオキシン暴露等による早期健康影響指標として普及させる。また、コホート研究により小児の成長や二次性徴への影響を継続的に解明する。平成30年度には、前年度に実施したHo Chi Minh市に隣接するダイオキシンのホットスポットの1つであるBien Hoa市で追跡中の7歳児の対照集団であるハノイ近郊のKim Bangで追跡中の7歳児48名中41名の小児より唾液と血液を採取し、成長状況を身体計測と質問紙調査・診察により確認した。上記の生体試料は、日本に移送し、国立環境研究所で現在ステロイドホルモンの測定準備中である。2018年8月にポーランド・クラクフで開催された第38回ダイオキシン国際会議で、ベトナムセッションの共同議長を城戸が務め、一昨年までの調査結果について発表した。また、2018年12月にはベトナム軍医大学で開催されたダイオキシン国際会議において、これまでの2つのコホート研究の結果をステロイドホルモンへの影響を中心に、城戸が招待講演を行った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Science of The Total Environment
巻: 640;641 ページ: 466-474
https://doi.org/10.1016/j.scitotenv.2018.05.257
http://square.umin.ac.jp/k-chiiki/kido/index.html