研究課題
国際研究共同体制を構築し、欧州腎臓学会、日本腎臓学会、米国腎臓学会、第6回CKD Frontier会議にあわせて、会議を開催し討議した。アジア人種における腎機能評価法につきインド人慢性腎臓病患者130名においてイヌリンクリアランスで腎機能を評価し、血清クレアチニンに基づく糸球体濾過量(GFR)推算式では、国際的に汎用されるMDRD式、CKD-EPI式、日本人のGFR推算式のいずれにおいても腎機能を過大評価することを明らかにし、インド人のGFR推算式を作成した。筋肉量によらないシスタチンCに基づくGFR推算式はインド人でも誤差が少ないことを明らかにし、国際共同研究の基盤を整備した。小児から成人への移行期においてGFR推算式が変化するが、名古屋大学で血清クレアチニン値を測定した188名において推算GFR値の変化を明らかにした。30%GFR低下のアウトカムにつき、沖縄県の住民健診コホートならびに名古屋大学で2014年から2016年に血液透析に導入された112例において有効性を検討した。30%GFR低下は早期アウトカム指標として優れるが、国際的に提唱された2年間では透析導入される患者においても37.5%がアウトカムに達しないこと、GFR低下速度が大きく異なり、蛋白尿が軽微であるか、腎機能が中等度に低下した患者ではより長期間の観察期間が必要であることを明らかにした。本邦で行われたCKD-JAC研究やORIENT研究の解析と比較検討し、同様の結果であった。IgA腎症患者の尿アウトカム指標では、尿異常の寛解が腎予後に重要であるが、蛋白尿が再悪化しても、秋・冬期であれば保存治療でも再寛解しやすいことを明らかにした。
3: やや遅れている
GFR推算式のアウトカム指標解析は淳緒に推移しているが、IgA腎症の尿アウトカム指標は国内の共同研究施設の倫理委員会申請などで予定よりやや遅れている。
アジア人種に適したGFR推算式を作成し、それを用いた新たな腎疾患アウトカム指標を確立する。30%GFR低下は早期の指標となるが、各患者のGFR低下速度により感度が変化するため、ベースラインの蛋白尿やGFRに基づき臨床研究期間を設定することが重要となる。尿アウトカム指標はことにIgA腎症患者では重要であり、尿異常が寛解すれば腎機能は低下しないため、治療効果判定には尿アウトカム指標が不可欠である。国際共同研究において本邦で認められた成果がアジア人種で適応可能か検討を進める。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (12件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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