IgA腎症の新規診断法確立に関する国際間研究

2016 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15H05292
• 研究機関: 藤田保健衛生大学
• 研究代表者: 湯澤 由紀夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00191479)
• 研究分担者: 比企 能之 藤田保健衛生大学, 保健学研究科, 教授 (20156566) ; 秋山 真一 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (20500010) ; 長谷川 みどり 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (40298518) ; 高橋 和男 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (90631391)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: IgA腎症 / O結合型糖鎖 / バイオマーカー開発 / 翻訳後修飾 / 国際間研究

研究実績の概要

IgA腎症はわが国に高頻度に認める慢性糸球体腎炎であるが，発症に人種差を認めアジア人に多く黒人では稀である。患者血中に糖鎖異常IgA1が増加するが，糖鎖の正確な構造は明らかでなく，糖鎖異常IgA1のバイオマーカー利用に大きな障害となっている。申請者らは高分解能質量分析計を用いて日米のIgAN患者少数例の血清IgA1の正確な糖鎖構造を解析し，人種間で比較したところ糖鎖構造に差異を認めた。そこで本研究は，①多人種間で正常及びIgA腎症患者のIgA1糖鎖構造を明らか（正常と異常の同定）とする，②患者に増加する異常糖鎖構造の簡便な検出システムを構築する，③検出システムの有用性を国際間で検証し，臨床・病理像との関連を明らかとし，従来の方法を超える非侵襲的新規診断法として確立することを目的とする。
H28年度は，白人10名，黒人10名，ヒスパニック10名，アジア人10名，日本人10名の計50名の健常者コントロールに加え，日本人IgA腎症患者50名のIgAの精製が完了し，自動解析ソフトウェアGlycan Analyzerにて解析を進行している。現在のところ，健常者にも多くのGal欠損糖鎖構造を認めることが明らかとなっている。本研究により人種間のIgAヒンジ部O結合型糖鎖構造の差異と正常構造の範囲内を明らかとし，IgA腎症の真の糖鎖異常構造を同定することが可能である。IgA腎症患者に特異的に存在する異常糖鎖構造を糖鎖付着部位を含めて解析し，その検出システムの構築を予定している。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

白人10名，黒人10名，ヒスパニック10名，アジア人10名，日本人10名の計50名の健常者コントロールに加え，日本人IgA腎症患者50名のIgAの精製が完了し，順調に解析を進めている。解析は前年度までに開発した自動解析ソフトウェアGlycan Analyzerにて行っている。

今後の研究の推進方策

正常の糖鎖構造とIgA腎症に増加する異常糖鎖構造を明らかとするために解析を進める。IgA腎症に増加する異常糖鎖構造を同定後，その抗体を作成，国際共同研究先に配布し，有用性を確認する予定である。

備考

これまでの研究成果を踏まえ順次更新予定である

研究成果

• [雑誌論文] A Multicenter Study of the Predictive Value of Crescents in IgA Nephropathy. (2017)
  • 著者名/発表者名: Haas M, Verhave JC, Liu ZH, Alpers CE, Barratt J, Becker JU, Cattran D, Cook HT, Coppo R, Feehally J, Pani A, Perkowska-Ptasinska A, Roberts IS, Soares MF, Trimarchi H, Wang S, Yuzawa Y, Zhang H, Troyanov S, Katafuchi R.
  • 雑誌名: J Am Soc Nephrol. 巻: 28(2) ページ: 691-701
  • DOI: 10.1681/ASN.2016040433.
  • 査読あり / 国際共著
• [雑誌論文] Evidence-based clinical practice guidelines for IgA nephropathy 2014. (2016)
  • 著者名/発表者名: Yuzawa Y, Yamamoto R, Takahashi K, Katafuchi R, Tomita M, Fujigaki Y, Kitamura H, Goto M, Yasuda T, Sato M, Urushihara M, Kondo S, Kagami S, Yasuda Y, Komatsu H, Takahara M, Harabuchi Y, Kimura K, Matsuo S.
  • 雑誌名: Clin Exp Nephrol. 巻: 20(4) ページ: 511-35
  • DOI: 10.1007/s10157-015-1223-y.
  • オープンアクセス
• [雑誌論文] The Level of IgA Antibodies to Endothelial Cells Correlates with Histological Evidence of Disease Activity in Patients with Lupus Nephritis. (2016)
  • 著者名/発表者名: Kondo A, Takahashi K, Mizuno T, Kato A, Hirano D, Yamamoto N, Hayashi H, Koide S, Takahashi H, Hasegawa M, Hiki Y, Yoshida S, Miura K, Yuzawa Y.
  • 雑誌名: PLoS One 巻: 11 ページ: e0163085
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0163085
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [学会発表] Comprehensive Analysis of IgA1 Hinge-Region O-Glycoforms in Patients with IgA Nephropathy (2016)
  • 著者名/発表者名: Kazuo Takahashi, Hisateru Yamaguchi, Yukako Ohyama, Akihiro Kato, Tomohiro Mizuno, Yoshiyuki Hiki, Matthew B. Renfrow, Jan Novak, Yukio Yuzawa.
  • 学会等名: Kidney Week 2016
  • 発表場所: McCormick Place in Chicago, IL, USA
  • 年月日: 2016-11-15 – 2016-11-20
  • 国際学会
• [学会発表] Elucidation of the Roles of Tissue Transglutaminase in Mesangial Proliferative Glomerulonephritis. (2016)
  • 著者名/発表者名: Kato A, Mizuno T, Takahashi K, Yoshida Y, Tatsukawa H, Mizuno M, Hitomi K, Yuzawa Y.
  • 学会等名: Kidney Week 2016
  • 発表場所: McCormick Place in Chicago, IL, USA
  • 年月日: 2016-11-15 – 2016-11-19
  • 国際学会
• [学会発表] Mesangial Tissue Transglutaminase Activity in Patients with IgA Nephropathy: Implications for the Pathogenesis (2016)
  • 著者名/発表者名: Takahashi K, Mizuno T, Onouchi T, Yoshida Y, Ohyama Y, Akiyama S, Tatsukawa H, Hiki Y, Kusaka M, Nagamatsu T, Tsutsumi Y, Maruyama S, Kitamura H, Novak J, Hitomi K, Yuzawa Y.
  • 学会等名: International IgA Nephropathy Symposium
  • 発表場所: Tours, France
  • 年月日: 2016-09-15 – 2016-09-17
  • 国際学会
• [学会発表] Comprehensive analysis of IgA1 hinge-region O-glycoforms by a sequential deglycosylation protocol (2016)
  • 著者名/発表者名: Takahashi K, Yamaguchi H, Ohyama Y, Kato A, Yoshida Y, Mizuno T, Hiki Y, Renfrow MB, Novak J, Yuzawa Y.
  • 学会等名: International IgA Nephropathy Symposium
  • 発表場所: Tours, France
  • 年月日: 2016-09-15 – 2016-09-17
  • 国際学会
• [学会発表] 質量分析によるIgA1ヒンジ部糖鎖異常部位の定量及び同定 (2016)
  • 著者名/発表者名: 高橋和男、加藤彰浩、比企能之、吉田祐理、水野智博、山口央輝、林宏樹、小出滋久、長谷川みどり、RenfrowMatthewB.、NovakJan、湯澤由紀夫
  • 学会等名: 第59回日本腎臓学会学術総会
  • 発表場所: パシフィコ横浜会議センター, 神奈川県横浜市
  • 年月日: 2016-06-17 – 2016-06-19
• [備考] 藤田保健衛生大学医学部腎内科学IgA腎症研究グループ
  • URL: http://fujita-jin.blogat.jp/blog/2013/02/iga-f52d.html