研究課題/領域番号 |
15H05295
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
渡邊 洋平 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (50452462)
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研究分担者 |
鈴木 康夫 中部大学, 生命健康科学部, 客員教授 (00046278)
高橋 和郎 国際医療福祉大学, 大学病院, 教授 (10171472)
中屋 隆明 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80271633)
大道寺 智 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80432433)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ウイルス学 / 感染症内科学 / インフルエンザウイルス / 国際感染症 |
研究実績の概要 |
現在、H5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスは、エジプトを含むアジア・中近東地域の一部で鳥類における感染流行域を獲得している。繰り返される感染伝播によって変異が誘導され、H5N1ウイルス由来新型パンデミックが発生する可能性が指摘されている。特にエジプトは、2009年以降、全世界の67%のヒト感染事例が報告されている特異な地域である。ヒト感染例の国別の累計においても、2015年にアジア諸国を抜いて全世界で最多となった。そのため、エジプトの家禽で蔓延するH5N1ウイルスの進化動態を詳細に把握すると共にウイルスのヒト適応性獲得の推移やパンデミック化潜在性を先行的に評価することが緊要である。 本年度は、エジプトにおける共同研究者であるダマンフール大学獣医学部のMadiha S. Ibrahim教授およびAsharaf El Sharaby教授と連携して、現地での鳥インフルエンザウイルスの感染が疑われる家禽のスワブまたは臓器のサンプリングを実施した。また、先行研究において、農林水産大臣の許可を受けて日本に移送したH5N1ウイルス臨床サンプル(2011~2013年にサンプリング)について、ウイルス分離を進めると同時に、亜型鑑別およびレセプター糖鎖結合親和性の評価を実施した。その結果、一部のウイルス株において、鳥型レセプター糖鎖親和性に加えて、ヒト型レセプター糖鎖親和性を獲得していることが明らかとなった。また、エジプトにおいて、現在、異なる複数の亜型の鳥インフルエンザウイルスが同時流行していることが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
エジプトデルタ地域における鳥インフルエンザウイルスのサンプリングを円滑に開始できた。また、先行研究において収集した臨床サンプルを対象にウイルス株の分離を実施し、異なる複数の亜型の鳥インフルエンザウイルスの分離に成功した。また、当該分離ウイルスの性状解析に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度(H29年度)は、本事業においてH5N1ウイルスのサンプリングを終了する年度であるため、より包括的に広範囲のデルタ地帯でのサンプル収集を展開する。また、分離ウイルスのレセプター糖鎖親和性を順次明らかにすると共に、当該ウイルスサンプルを用いて、レセプター糖鎖結合特異性の迅速診断キットの評価試験を実施する。 また、次年度(H29年度)の8~9月頃にエジプト側共同研究者を日本に招へいすることで、現地でのウイルス蔓延状況ついて情報を共有する。
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