研究課題
侵襲性歯周炎は思春期前後の若年者に発症し、歯周組織の破壊が急速であること、前歯および第一大臼歯に限局した骨吸収を示すことなどが明らかとなっている。本疾患の罹患者の歯周ポケットからグラム陰性桿菌A. actinomycetemcomitansの特にJP2クローンが多く単離され、同クローンの有無が非常に強く関与することが明らかにされてきた。しかし、本疾患に特異的な細菌叢の解析は行われておらず、健常者との相違等については不明である。そこで、モロッコ王国Mohammed V大学の約900名について口腔内診査を行い、侵襲性歯周炎の検査を行った。検査と同時に同意者について歯肉縁下プラークおよび血液サンプルを採取した。そのうち、患者60名、健常者60名より前歯・臼歯からそれぞれ4か所、計8か所から歯肉縁下プラークを採取後、細菌16S rRNAをターゲットとしたDNAシーケンシングを行った。次にその塩基配列を基に歯肉縁下プラーク細菌の菌叢解析を行った。菌叢解析の結果、患者-健常者間に有意に特異的な細菌属が明らかになった(p<0.05)。その構成細菌種を基にクラスター分類を行ったところ、歯肉縁下プラークの構成細菌による患者-健常者のクラスターは全く異なることが示唆された。さらに、本疾患はアフリカ系人種特異的に発症するという人種特異性があることから、患者-健常者間に血液から採取した血球のミトコンドリアDNAの塩基配列に違いがみられるという仮説を立てた。そこで、ミトコンドリアDNAの人種特異的に保存されているH領域の塩基配列を解析したところ、患者および健常者に特異的な塩基配列は認められなかった。本結果から、ミトコンドリアDNAの塩基配列からみた人種と本疾患の疾患特異性およびA. actinomycetemcomitansの感染感受性は関係ないことが示された。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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