研究課題/領域番号 |
15H05298
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
筑波 隆幸 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 教授 (30264055)
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研究分担者 |
坂井 詠子 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (10176612)
岡元 邦彰 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 准教授 (10311846)
西下 一久 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 助教 (20237697)
胡 錦萍 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (30420631)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 天然薬物 / 骨代謝治療薬 |
研究実績の概要 |
骨粗鬆症は高齢者の人口増加に伴い、日本での患者数は急増している。現在使用されている骨粗鬆症治療薬のビスフォスフォネートは顎骨壊死などの副作用が非常に強いため、毒性の少ない薬物の開発が急務である。本研究の目的は、天然物の宝庫であり長寿村として知られている中国・吉林省の長白山区で未知の天然薬物から、毒性の少ない骨代謝治療薬を発掘することである。本研究の目指す骨粗鬆症薬は、抗肥満防止作用も同時に期待できるものであり、生活習慣病としても効果がある。さらに、これまで様々なポリフェノールから骨代謝治療薬の候補物質を報告してきた実績がある。以下に具体的な実績を述べる。 1.原料生薬の抽出と薬理学的解析-----選別された薬物についてアルコール等の有機溶媒にて抽出を行う。長期保存の必要がある場合にはエタノール漬けにして保存する。この粗抽出に対して薬物スクリーニング試験として1)破骨細胞抑制試験、2)骨芽細胞増殖試験の2つを実施する。スクリーニングの結果に基づきさらに詳細な各種スペクトル解析や化学構造の決定を行う。2.細胞毒性測定-----細胞毒性に関しては細胞内のミトコンドリアの活性を指標にするCCK-8にて細胞毒性試験とする。この際、細胞毒性が高濃度まで認められないことを最初に確認する。3.破骨細胞抑制活性測定---TRAPによる解析:破骨細胞の分化・成熟は酒石酸耐性酸性ホスファターゼ(TRAP)による観察と定量によって行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度後期から研究分担者の胡 錦萍博士が長崎大学熱帯医学研究所に転出したことで解析が予定より遅れている。しかしながら、残りの研究分担者で精力的に解析を行っている。現在までに現地で入手した薬物のうち破骨細胞抑制活性を有する物質が同定できている。今後はさらにこれらの薬物についてシグナリングに関する解析を実施する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
破骨細胞抑制活性を有する薬物のうちさらに骨芽細胞増殖活性測定を実施する。具体的には 骨芽細胞分化にはMC3T3-E1細胞を用いる。骨芽細胞へ分化させる際、アスコルビン酸(50ng/ml)とβ-glycerophosphate (50ng/ml)、デキサメサゾン (10ng/ml)を添加させる。分化マーカーとしてアルカリホスファターゼ活性染色を行う。次に、骨芽細胞の分化に必要な転写因子Runx2やOsterixの発現を、リアルタイムPCRやウエスタンブロット法により解析する。最終的に、石灰化しているかどうかを確認するため、アリザリンレッドを用いて染色することで確認する。
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