研究実績の概要 |
欧米と同様に我が国でも顕在化している閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea; OSA)は、睡眠中に舌が沈下し上気道が閉塞する疾患である。OSAは心脳血管障害の発現要因であるが、我が国においてOSAが顕在化してきた理由を、口腔咽頭領域を切り口に究明する実証的比較研究はない。本研究では、コーカソイドを対照とした人種間比較により、日本人OSAに特有な形態的特徴を同定する。日本人およびコーカソイドのOSA患者の歯列模型とセファログラムを用い、口腔内容積に対する舌の相対的大きさ(解剖学的バランス)を解析する。これらにより得られる結果を包括・融合し、日本人、コーカソイド両人種OSAの形態的特徴を明らかにする。本年度は、海外研究協力者との打ち合わせを適宜行いつつ、日本人ならびに白人OSAの基礎資料の確認、解析に有効な症例の選別、歯列模型およびセファログラム解析を行い、データベースを一部完成させた。幸塚(海外研究協力者:The University of British Columbia [UBC], Canada)、Almeida(海外研究協力者:The University of British Columbia [UBC], Canada)、および對木(研究代表者:神経研究所)で両人種OSA患者のサンプリング、解析、データ入力を行ってきたが、特に白人OSAの有効症例が少ないのが現状である。一方で、歯列模型の計測には、同模型データをデジタル化保存し、PC上で行うことにより測定の精度と再現性が向上することが判明した。次年度以降も引き続きサンプル数の増大とデジタル化データを用いたデータ解析を行い、成果の一部を学術集会で報告する予定である。
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