研究実績の概要 |
欧米と同様に我が国でも顕在化している閉塞性睡眠時無呼吸症(Obstructive Sleep Apnea; OSA)は、睡眠中に舌が沈下し上気道が閉塞する疾患である。OSAは心脳血管障害の発現要因であるが、我が国においてOSAが顕在化してきた理由を、口腔咽頭領域を切り口に究明する実証的比較研究はない。これまでに本研究では、コーカソイドを対照とした人種間比較により、日本人OSAに特有な形態的特徴を同定を目指してきた。最終年度である平成29年度は、幸塚(海外研究協力者:The University of British Columbia [UBC], Canada)、Almeida(海外研究協力者:The University of British Columbia [UBC], Canada)、田賀(分担研究者:昭和大学)および對木(研究代表者:神経研究所)で両人種OSA患者のサンプリング、データ入力を終了させ、データベースを完成させた。また、最終的な統計学的解析を行い、日本人OSAと白人OSAの形態的類似点、相違点を抽出した。その結果、両人種OSAにおいて顎顔面形態(上下顎骨の形状・絶対的大きさ)に加え歯列弓形態も異なるが、OSAの重症度が同程度である場合、解剖学的バランス(Tsuiki et al. Anesthesiology 2008)は同程度崩れているとい知見を得た。当初予定していたOSAスクリーニング指標と治療法選択基準の立案は、解析に有効な症例数の不足により断念した。以上の国際共同研究の成果を第26回アメリカ睡眠歯科学会(26th American Academy of Dental Sleep Medicine, Boston)において公表し、筆頭発表者である研究協力者の幸塚がStudent Research Awardを受賞し、受賞招待講演を行った。
|