我々は他者の身体の動きから様々な社会的情報を読み取り、それを利用して円滑な社会生活を営むことができる。しかしながら、その処理の発達過程については不明である。本研究は、他者の動き知覚の発達過程、動きに埋め込まれた社会的情報の特徴量、それが学習に与える影響について乳児を対象に明らかにした。一連の研究の結果、①他者の動きへの選好は生後1年の間で変化すること、②水平方向の手の振りが4ヶ月児の選好を促し、9ヶ月児ではそれを物体学習に利用する可能性、③手の動きの非効率性が学習を促進させること、④それらの神経基盤について明らかにした。さらにこれら一連の発見の理論的基盤を整備するため、発達モデルを構築した。
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