研究実績の概要 |
多様な認知機能を司る脳機能を解析する実験系を確立するため、ヒト被験者を対象とした予備実験を行った。より具体的には、様々な認知タスク・刺激下においてfMRI(functional magnetic resonance imaging; 機能的磁気共鳴画像法)を用いた脳活動計測およびタスク中の行動記録を行い、タスクの多様性、解析上のモデル化精度、体動等によるアーティファクト等に照らしあわせた実験タスク・計測系の最適化を行った。これらにより、次年度以降の実験に必要な基礎的知見を得ることが出来た。また脳活動解析に用いる脳活動モデルを広範な認知内容に適応可能なものにするため、刺激やタスクに関する自然言語記述を中間情報表現としたモデルを開発し、記録した脳活動の回帰モデル構築を試みた。その結果、同モデルが自然認知下における脳活動に関する説明および予測能力を持つこと、実験・タスク条件によってはその予測能力が大脳皮質および皮質下の広範な領域にわたって確認できること、また同モデルの逆関数を構築することで脳活動から印象等の主観的認知に関わる表象を一定精度で解読(デコード)出来ることなどを実験的に確認した(一部はNishida et al., 2015 SfN等で発表)。また本件に関連した特許を3件出願した(Nishimoto et al., 2015, 2016a,b)。また関連する技術の社会応用に関する実証実験を行い、プレスリリースを行うなど研究成果を社会・国民に発信した。この発表は日本経済新聞、ヤフー!ジャパン、ITPro等の各種メディアで取り上げられた。
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