研究課題/領域番号 |
15H05313
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
鳥居 秋彦 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (20585179)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コンピュータビジョン / 特徴マッチング / 画像マッチング / 3次元復元 / 画像検索 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,これまでの研究成果である3Dモデリングを応用・発展することで,大量・様々な画像が空間・時間的に有機的に結びつきながら拡張する画像データベースを構築するとともに,そららの情報を効果的に提示するシステムを実現することにある.平成27年度は,本課題を実現するうえでの構成要素となる,特徴マッチング,画像マッチング,3Dモデリング,それぞれに関して以下の研究を行った. 特徴マッチング:撮影した2枚の画像間における空間的な隔たりが大きい場合,画像上に現れる見た目の変化により,既存の特徴検出,記述子マッチングの性能が低下する.特にパノラマ画像のように投影自体による歪みが大きい場合は,その低下が著しい.パノラマ投影による歪みの影響を緩和しつつ特徴マッチングを行う新たなアルゴリズムを提案し,その成果を発表した(学術論文1件). 画像マッチング:大規模なデータベースを構築し,それに新しい画像を結びつけるうえで,高速な画像マッチング手法が不可欠である.特に都市部で撮影され,ビル,家など繰り返し構造を多く含む画像データベースの場合,それらによるミスマッチを避けることの可能な識別性の高い画像マッチングが求められる.繰り返し構造を陽に検出し,画像記述の段階でその影響を抑制するアルゴリズムを開発し,高精度に画像マッチングを行う手法を提案した(学術論文1件,学会発表1件). 3Dモデリング:本研究課題で提案するビジュアルマッチングにおいて,3Dモデルを利用した任意視点画像生成は重要な技術であり,生成する画像の質は3Dサーフェスの復元精度の強く依存する.そこで,3D点群と3D線群を統一的に用いながら高精度にサーフェスを生成する手法(国際会議1件)を提案した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究プロジェクト1年目として,大量・様々な画像が空間・時間的に有機的に結びつきながら拡張する画像データベースを構築を実現するための各要素技術,アルゴリズムの開発を進めた.それらの成果は,すでに学術論文,国際会議を通して発表しており,研究は順調に進んでいる. また,特徴マッチング,多眼ステレオ,3Dモデリングの性能評価を行い,既存技術の限界を明らかにするために,十分に大きな規模,位置情報が正確に記録された画像データセットの構築が不可欠である.本年度は,評価用データセットの撮影を開始し,公開に向けての準備を進めている. また,研究協力者であるTomas Pajdla, Josef Sivic, Relja Arandjelovicらとは2週に1度程度でビデオ会議を行い,研究,実験に関する議論を行っている.彼らとの共同作業は研究の推進のみならず,本成果の国際的な発信に繋がると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に引き続き,画像・特徴マッチング,アルゴリズムの開発,実装,実験評価を行う.特徴マッチング,画像マッチングに関しては,引き続き,見た目の大きな変化に対して頑健なアルゴリズム開発,大規模データに対しても高精度なマッチングを可能とするアルゴリズムの開発を進める.同時に,近年にわかに注目を集めているCNN(Convolutional Neural Network)特徴量の性能評価を行い,本研究において有効性を検証しつつ,必要に応じて適宜とりいれたアルゴリズム開発を進める.3Dモデリングに関しては,さらに高精度にサーフェス復元を行うアルゴリズム開発に取り組む.具体的には,これまで画像からの3次元復元において,独立に進められてきた多眼ステレオマッチング,陰影からの復元を融合する.これにより,3Dサーフェス形状,物体表面の色情報(アルベド),光源情報を同時推定する手法の開発に取り組む.成果は,国際会議,ワークショップでの発表を通して随時発信する. 並行して,大規模なデータベース構築を行うための計算機,ワークステーション,ファイルサーバーを順次導入し,環境設備を整える.また,個人情報保護に十分注意し,データセット公開に向けての準備を進める.
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