研究課題/領域番号 |
15H05317
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
宮部 真衣 和歌山大学, システム工学部, 講師 (00613499)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ソーシャルメディア / マイクロブログ / 流言 / アウェアネス / ユーザインタフェース |
研究実績の概要 |
本研究では,情報伝達において問題となりうる流言をソーシャルメディア上から分析・収集し,信頼性アウェアネスの提供によって流言の拡散を防止するプラットフォームの構築を目指している.平成27年度は,分析データの構築(STEP 1),マイクロブログにおける流言の特徴分析(STEP 2)および流言拡散防止プラットフォームの構築(STEP 3)に取り組んだ. これまでにも,マイクロブログ上の流言を分析した先行研究はあるが,災害時という特定の条件下における,数事例を扱った分析にとどまっており,大規模な分析を行った事例はない.そこで本研究では,平常時に拡散される流言を考慮した分析を行うために,分析データの構築を行った(STEP 1).現在運用中の流言情報収集システムにより収集したツイートデータをもとに,流言情報を抽出し,分析用データとして構築した. また,分析用データをもとに,流言情報の言語的な特徴に着目した分析を行った(STEP 2).人間の信頼性に影響しうる言語的特徴として,伝聞表現に着目し,表現の有無による信頼性判断への影響についての検証を行った.検証の結果,信頼性判断への大きな影響は確認できなかったものの,伝聞表現の種類によって,影響の違いが生じうることが示唆された.また,流言拡散防止プラットフォームの構築においては,情報の信頼性に対する気づき(信頼性アウェアネス)の提供が重要になる.そこで,まず,ユーザに信頼性アウェアネスを提供するための要件を抽出するための調査を行った.代表的なマイクロブログであるTwitter利用者を対象とし,情報拡散時の各利用者の行動について,年代別に調査した.調査の結果,情報拡散時にその情報の正しさについての確認行動をとる利用者は少なく,特に若年層の確認行動率が低いことが明らかとなった.また,情報発信者と利用者との親密さが,確認行動をとるかどうかに影響しうることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は,分析データの構築(STEP 1),マイクロブログにおける流言の特徴分析(STEP 2)および流言拡散防止プラットフォームの構築(STEP 3)への着手を行った.STEP 1については,現在運用中の流言情報収集システムで収集したツイートデータから,分析用データを構築した.今後,さらにデータの収集・蓄積を行い,分析データの拡充を試みる予定だが,おおむね順調に進展している.STEP 2については,平成27年度は,まず言語的特徴に着目した分析に取り組んだ.平成28年度も,異なる観点からさらなる分析を進めることを想定しており,おおむね順調に進展している.STEP 3については,プラットフォームにおいて重要となる信頼性アウェアネスの要件についての基礎調査を実施した.情報提供において考慮すべき要件が抽出できており,平成28年度以降は,調査結果をもとにさらなる調査やプロトタイプの構築・実験によるプラットフォームに必要な機能の検討を進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度に実施した分析結果をもとに,マイクロブログ上の流言の特徴分析を継続して進め,分析結果をもとに,流言拡散防止プラットフォームに必要な機能についての検討を進める.また,流言拡散防止において重要となる信頼性アウェアネスの提供に関して,平成27年度に実施した調査の結果,情報拡散を行うユーザと,拡散する情報の発信者との関係性の影響が示唆された.プラットフォーム構築においては,適宜実験や調査などによるフィードバックを得て,要件を確認しながら構築を進める.
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