本研究は,情報伝達において問題となり得る“流言”に着目し,マイクロブログ上で発信された流言の収集・分析および信頼性アウェアネスの提供による流言拡散防止の構築を目指したものである.平成29年度は,(1)マイクロブログ上の流言の特徴分析,(2)信頼性アウェアネス提供手法の評価・改善,(3)流言拡散防止プラットフォームの構築・評価に取り組んだ. マイクロブログ上の流言の特徴分析においては,代表的なマイクロブログの一つであるTwitterを対象とし,流言の収集および分析を行った.平成29年度は,Twitter上で流言を収集する際の手がかりとなる,「デマ」「嘘」「都市情報」といった,情報を訂正する表現(流言マーカー)を15種類選定し,Twitterにおけるそれらの表現の利用傾向について分析した.分析の結果,Twitterにおいては,用いられやすい流言マーカーが存在するということ,および平常時と災害時とでは,用いられる流言マーカーに違いが生じうることを明らかにした.また,Twitterで訂正された流言情報についてのカテゴリ分類を行い,各カテゴリの流言に関するユーザの拡散意欲に関する調査を実施した. また,信頼性アウェアネスの提供手法について,Twitterユーザを対象とした調査結果に基づいて検討し,流言拡散防止のための情報提供が可能なプラットフォームとして,Webブラウザ上で動作するシステムの構築を行った.ユーザの自発的な確認行動がなくとも注意を促すための仕組みとして,Webブラウザにおける情報閲覧において,閲覧内容に含まれる流言に関するテキストを強調表示する仕組みを構築し,それらが通常の閲覧行動の妨げとならないことと,流言に関する気づきを与えうることを明らかにした.
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