近年、協働ロボットや外骨格ロボットなど、人と協調・人が装着するようなロボットの使われ方が急速に普及し、また多くの機器開発が行われている。これまでの産業ロボットはバックドライバビリティを犠牲にすることで高い位置決め性能を追求し、固い駆動関節による制御を目的としていた。人と協調するロボットには高いバックドライバビリティ、ハードウェア的に低インピーダンスの力制御、など全く異なる性能が求められる。しかし、従来のモータ制御でこれらの特性を実現するには、低減速比にするほかなく、結果的に駆動装置の重量や装置のイナーシャを増加させる原因となる。当該研究課題では、アクチュエータに空圧もしくは空圧と電磁力を合成させて利用することで、低インピーダンスでハードウェア的に可変な駆動システム、制御モデルを開発した。当該年度は、これまでに開発しているハードウェア的なインピーダンス制御可能なプラットフォームの改良を実施し、具体的には、人工筋や直動型のアクチュエータにおける構造設計の最適化による改良に加え、多リンク系への実装を可能とするメカトロニクス部分の開発と制御モデルの改良を行った。実機において、周期運動に追従する制御系および制御アルゴリズムを開発し、センサ情報の取得を行うためのインタフェース系を実装することで、生体信号や脳情報解析技術と連動するプラットフォームとして機能することを実験的に実証した。これまでの産業用ロボットや協働ロボットとは全くことなる制御特性、また低インピーダンスで可変制御が達成可能である点において、重要な成果である。
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