本研究では,ロボットが人と身体的に触れ合いながら親しみのある関係性を構築することを目指し,人に不安を与えないリーチング動作,人に心地よい感覚を伝える撫で動作,撫で動作を通じて関係性を構築するロボット,の3つの基礎技術を確立することを目的としている.
最終年目である本年度は,初年度・次年度に行った実験の追加実験を進め,ロボットが人に触れる際の視線を考慮したリーチング動作および撫で動作に加えて,被験者の性別がロボットの印象に与える影響の検証を進めた.この結果を取りまとめた論文は,ソーシャルロボットに関する国際論文誌International Journal of Social Robotics (2016年度のIFは2.559)に採択されるなど,国際的に高い評価を得ることが出来た.
発展的な研究として,人に心地よい感覚を伝える抱きしめ動作を実現する大型のロボットを用いて,ロボットからの抱擁動作が人々との関係性を構築するために有用であるかを検証した.その結果,ロボットからの抱擁動作は人々からの自己開示を促進するとともに,より長くインタラクションをしたいと感じさせることが明らかになった.また,ロボットの見た目を変化させることで,同じ抱擁動作でも有意に異なる印象をもたらすことができることを明らかにした.この結果を取りまとめた論文は,ソーシャルロボットに関する国際会議 International Conference on Social Robotics(ICSR2017,採択率30.5%)でベストペーパー候補に選出されるなど,高い評価を得ることが出来た.
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