研究課題
本年度は,前年度に構築した組み立て式の超音波検査ロボットにおける校正手法の開発と,血管探索アルゴリズムの開発を行った.以下にそれぞれの項目について具体的に述べる.本研究で提案しているロボットは組み立て分解可能となっており,そのために家庭での使用に不可欠な省スペース化や計測部位に応じた機構の簡便な修正が達成されている.一方で,組み立てにおける誤差が計測結果を歪めるというトレードオフが生じている.磁気軸受けの利用など位置決め誤差低減のための機構を用いているが,さらに簡便に組み立て誤差の評価する手法を開発することが重要となるある.そのため,本年度は新たに校正用のファントムを提案し製作した.製作したファントムは非等間隔で複数のワイヤを張り巡らせた構成となっている.超音波画像からファントム内のワイヤの位置およびワイヤ間距離を算出することで,校正用ファントムに対するプローブ先端の位置と姿勢を求めることができる.校正用ファントムを作成し,実際に計測した結果,適切な自己位置と姿勢の同定が行えることが示された.次に,本研究の組み立て式超音波検査ロボットを用いた血管探索アルゴリズムの開発を進めた.より効率のよい探索を行うための手法として,プローブをT字形状に配置したうえで,直進移動と回転を組み合わせた探索手法を提案した.実際にDoppler flow phantomに対して計測を行い,T字形状でのプローブ配置を用いた探索の有効性を確かめた.
2: おおむね順調に進展している
本研究で提案している組み立て式の超音波ロボットにおいては,簡便に組み立て誤差を校正する手法の開発が重要なポイントであった.この点において,本年度は新しいファントムを作成し,有効性を示すことができたため.
超音波検査画像に加えて被験者に設置した他のセンサ情報と融合し解析できるシステムに発展させることを予定している.
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International Journal of Bioelectromagnetism,
巻: 18, ページ: 38 - 44,