研究実績の概要 |
今年度はインドネシアとの正式な共同研究を行うにあたって、共同研究者が所属するインドネシア原子力庁と岡山大学大学院自然科学研究科との部局間協定締結の準備を進め、年度内にMoU締結に至った。 この間、サンゴ骨格試料の微量元素分析のための誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)を岡山大学に導入し、炭酸塩試料中のSr/Ca, Mg/Ca, Ba/CaおよびU/Ca比測定のメソッドの最適化を探索した。さらに、ICP-MS同様にICP発光分光分析計(ICP-OES)も用いたSr/Ca比測定の最適化も行った。ICP-MS用のメソッドは多少の改良が必要であるが、ICP-OES用のメソッドは国際誌レベルでの分析が可能となった。この方法に基づき、既にICP-MSでのSr/Ca比が測定済みのジャワ海から採取されたハマサンゴコアについて、約20年間のSr/Ca比の測定を行い再現性があることを確認した。その結果、ジャワ海のサンゴ年輪には、エル・ニーニョに伴う海水温の低下が記録されていることが分かった。ただし、エル・ニーニョだけでなく、インド洋ダイポールやモンスーン変動にも起因したSr/Ca比の変動も見られるため、今後のデータの解析および解釈には注意を要することが伺われた。
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