研究実績の概要 |
今年度は、昨年度から引き続き、様々なアミノ酸を高濃度に含む食品系工場廃水を処理する嫌気性リアクターから採取した汚泥から得られたショットガンメタゲノムライブラリを対象として、各種バイオインフォマティクス系ソフトウェアにより再構築した微生物のドラフトゲノムに含まれる各種微生物の代謝機能を詳細に解析した。その結果、Bacteroidetes門、Spirochaetes門、Thermotogae門に属する微生物が廃水中に含まれるタンパク質の分解によりアミノ酸を生じ、Synergistetes門やSyntrophorhabdaceae科に属する微生物が分枝鎖アミノ酸(ロイシン、イソロイシン、バリン)を酪酸や分枝鎖脂肪酸(イソ酪酸、2メチル酪酸、イソ吉草酸)に分解し、さらに酪酸・分枝鎖脂肪酸はSyntrophorhabdus属微生物によりプロピオン酸、酢酸、水素に分解される。分枝鎖アミノ酸以外のアミノ酸もSynergistetes門、Syntrophorhabdaceae科、Ruminococcaceae科、Clostridiaceae科等の嫌気性微生物によりプロピオン酸、酢酸、水素に分解される。さらにプロピオン酸はPelotomaculum属により酢酸、水素に分解される。最終的にEuryarchaeota門に属する各種メタン生成アーキア(Methanosaeta, Methanosarcina, Methanospirillum, Methanobacterium)によりメタンと二酸化炭素に分解されることが示された。これらの結果から、アミノ酸分解処理リアクター内部では、多種多様な微生物による多段的な分解反応が進んでいることが明らかとなった。
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