研究課題
本研究では、ゼブラフィッシュをモデルとして化学物質の有害性評価と毒性発現機構の解明を目的とする。平成30年度は以下の成果を得た。(1)昨年度までに、in vivo CYP19A1b誘導能を指標としたビスフェノール類(BPs)のエストロゲン様作用の用量効果と最大効力は化合物ごとに異なることを明らかにした。そこで、本年度は各化合物の相対効力(REP)を算出した。REPによる比較では、Bis-MPが他のBPsと比べ一桁高い値を示した。さらにin silico解析により、CYP19A1b誘導のEC50はエストロゲン受容体(ER)サブタイプとの相互作用エネルギーと有意な相関関係を示したが、REPでは相関性は低かった。また、新たな水圏環境汚染物質として注目を集めている妊馬由来エストロゲン類について、本研究で構築したin vivo・in silico評価系によりエストロゲン様作用を評価したところ、BPsと同様の結果を得た。以上より、ERサブタイプとの相互作用をin silico解析することで、多様な化合物のin vivoエストロゲン様作用の用量効果を予測できることが示唆された。(2)高機能シーケンサーを用いたRNA-seq解析により、ゼブラフィッシュの雌雄に発現するCYP分子種 mRNA発現量のpie chartの作成に成功した。雌雄でともに発現量が高かったCYP分子種は、CYP2AD2、CYP3A65、CYP1A、CYP2P9、CYP2Y3であった。発現量の雌雄差は、CYP1A、CYP1B1、CYP1D1、CYP2N13、CYP2AD2、CYP2P9で認められ、いずれも雄>雌であった。本研究により、ゼブラフィッシュの成魚肝臓に発現する主要なCYP分子種としてCYP2AD2やCYP2Y3などオーファンCYPの寄与が示され、これら分子種の肝臓における生理的・薬物代謝的な役割が推察された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
The Journal of Toxicological Sciences
巻: 44 ページ: 347-356
doi.org/10.2131/jts.44.347
PLoS One
巻: e0205266 ページ: 1-13
doi.org/10.1371/journal.pone.0205266
http://www.obihiro.ac.jp/~toxicology/index.html