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2016 年度 実績報告書

複雑混合物のリスク評価に向けた暴露評価手法開発

研究課題

研究課題/領域番号 15H05340
研究機関国立研究開発法人産業技術総合研究所

研究代表者

頭士 泰之  国立研究開発法人産業技術総合研究所, エネルギー・環境領域, 研究員 (80611780)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード混合物 / リスク評価 / 暴露評価 / GCxGC / 物性推定
研究実績の概要

研究計画の2年度目として、複雑混合物の暴露評価手法開発に取り組んだ。前年度までにGCxGC分析を可能とする実験基盤の構築と自動車エンジンオイルの定期サンプリングを行った。また試料前処理方法の検討を行った。さらに2次元溶出位置に基づく物性推定のツールプロトタイプを作成した。推定可能な物性はlog Kowやlog BCFをはじめとしたリスク評価などに用いられる代表的な物性である。2年度目は、前年度に引き続きエンジンオイルの定期サンプリングを実施しサンプルの拡充を行った。また、そのサンプリング試料について2次元ガスクロマトグラフ分析を進めデータ整備を行った。データ分析については、異なるカラム組み合わせでのGCxGC分析なども実施した。分析の結果においては、多環芳香族炭化水素類(PAHs)など使用過程で生じる環境変化体の存在を確認できた。エンジンオイルのサンプリングのタイミング(走行距離)とPAHsの増加量の関係から、これらは燃焼生成あるいはエンジン部分からの混入によるものと考えられた。
さらに、昨年度作成した物性推定ツールについて、推定できる物性項目の拡充のために、物性推定に必要となるAbrahamのLFER式のシステムパラメータのデータ収集を実施した。また環境変化試料等の系統的な混合物試料のGCxGC分析データに対し、各分析回で生じる溶出位置のズレをデータ補正するツールの開発に取組み、溶出位置から物性を推定する本手法の精度を向上できる基盤を整えた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画として掲げた、残油成分のGCxGC分析を予定通り実施できた。また物性推定ツールのプロトタイプの改良進めることが出来た。また推定可能な物質種の範囲拡充を見据え、新たなカラムコンビネーションでのエンジンオイル試料のGCxGC分析を順調に進める事ができた。推定可能とする物性の種類を増やすためにAbrahamのLFER式におけるシステムパラメータのデータを収集することが出来た。以上のように、研究計画を順調に進める事が出来た。また2次元溶出位置に基づいて物性を推定する本手法においては、GCxGC分析において生じやすい溶出位置のズレが問題となる事が多いが、溶出位置のズレを補正するツールの開発を進め、本手法の課題点の改良に成功した。このように当初の予定以上の成果も含んでおり、全体として順調な研究進捗であると考える。

今後の研究の推進方策

これまでの研究進捗により、エンジンオイル試料に対し物性推定を実行可能となった。
今後は、推定可能な物性項目の追加、推定可能な対象物質種の拡大の検討を引き続き進めていく。
また同時に、推定範囲外の物質がGCxGC分析データ中に混在する場合、推定手法の適用範囲内物質と適用範囲外物質を化学分離あるいはデータ分離する方法の検討を進めていく。
またリスク評価などのために使いやすい物性推定ツールへの改良を行っていく。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Revaluation of stockpile amount of PFOS-containing aqueous film-forming foam in Japan: gaps and pitfalls in the stockpile survey2017

    • 著者名/発表者名
      Zushi Yasuyuki、Yamamoto Atsushi、Tsunemi Kiyotaka、Masunaga Shigeki
    • 雑誌名

      Environ. Sci. Pollut. Res.

      巻: 24 ページ: 6736~6745

    • DOI

      10.1007/s11356-017-8374-1

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Nontarget approach for environmental monitoring by GC × GC-HRTOFMS in the Tokyo Bay basin2016

    • 著者名/発表者名
      Zushi Yasuyuki、Hashimoto Shunji、Tanabe Kiyoshi
    • 雑誌名

      Chemosphere

      巻: 156 ページ: 398~406

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.chemosphere.2016.04.131

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Status and Trends of Perfluoroalkyl Substances in Japan with Special Emphasis on the Tokyo Bay Basin2016

    • 著者名/発表者名
      Masunaga Shigeki、Zushi Yasuyuki
    • 雑誌名

      ASC Symposium Series

      巻: 1244 ページ: 157~179

    • DOI

      10.1021/bk-2016-1244.ch007

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 私たちの身の回りに存在する化学物質 ~東京湾流域を対象とした網羅的分析の実施事例~2016

    • 著者名/発表者名
      頭士泰之
    • 雑誌名

      Safety & Sustainability News letter

      巻: 26 ページ: 3

  • [学会発表] 熊本市における地震後の地下水水質2017

    • 著者名/発表者名
      黒田啓介, 小林淳, 中島大介, 白石不二雄, 山崎美穂, 高澤嘉一, 頭士 泰之
    • 学会等名
      日本水環境学会
  • [学会発表] 複雑混合物のリスク評価のための手法提案2016

    • 著者名/発表者名
      頭士泰之, 山取由樹, 加茂将史, 恒見清孝
    • 学会等名
      環境化学討論会
  • [学会発表] 室内製品暴露評価ツール(ICET)を用いた日常生活における暴露評価 - 難燃剤を事例として -2016

    • 著者名/発表者名
      頭士泰之, 山取由樹, 恒見清孝, 梶原秀夫, 東野晴行
    • 学会等名
      日本リスク研究学会
  • [学会発表] 複数物質・複雑混合物への暴露に対するリスク評価手法の開発に向けて2016

    • 著者名/発表者名
      頭士 泰之, 山取 由樹, 永田 淳, 加茂 将史, 恒見 清孝
    • 学会等名
      日本リスク研究学会
  • [学会発表] GCxGC-HRTofMSによる環境ノンターゲット分析の試み2016

    • 著者名/発表者名
      橋本俊次, 家田曜世, 高澤嘉一, 田邊 潔, 柴田康行, 頭士 泰之
    • 学会等名
      質量分析総合討論会
  • [学会発表] GCxGC-HRTOFMSによるノンターゲットモニタリングのための差の解析法の検討2016

    • 著者名/発表者名
      橋本俊次, 家田曜世, 高澤嘉一, 田邊 潔, 柴田康行, 頭士 泰之
    • 学会等名
      環境化学討論会
  • [学会発表] GC×GC-HRTOFMSによる多成分網羅分析-ソフトウェアによる化合物の自動検出とマトリックスの影響評価-2016

    • 著者名/発表者名
      家田曜世, 橋本俊次, 高澤嘉一, 田邊 潔, 頭士 泰之, 柴田康行, 前川文彦, 佐野一広, 鈴木剛, 中山祥嗣, 磯部友彦, Tin-Tin-Win-Shwe, 川嶋貴治
    • 学会等名
      環境化学討論会
  • [学会発表] 日本環境化学会25周年記念パネルディスカッション2016

    • 著者名/発表者名
      頭士泰之
    • 学会等名
      環境化学討論会
    • 招待講演
  • [学会発表] MSデータベースを利用した網羅分析事例の紹介と環境リスク解析への展望2016

    • 著者名/発表者名
      頭士泰之
    • 学会等名
      日本水環境学会シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 2次元GC計測を用いた複雑混合物スクリーニング評価,2016

    • 著者名/発表者名
      頭士泰之
    • 学会等名
      化学物質の安全管理に関するシンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] COMPREHENSIVE ANALYSIS OF HOUSE DUST USING GC×GC-HRTOFMS AND IN-HOUSE SOFTEWARE2016

    • 著者名/発表者名
      家田曜世, 橋本俊次, 高澤嘉一, 田邊潔, 頭士泰之, 柴田康行, 前川文彦, 佐野一広, 鈴木剛, 中山祥嗣, 磯部友彦, Tin-Tin-Win-Shwe, 川嶋貴治
    • 学会等名
      Dioxin 2016
    • 国際学会

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公開日: 2018-12-17  

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