研究課題
本研究では、生体組織が有する微細構造を規範にした機能性高分子ナノ薄膜を創製し、細胞・組織・器官の各階層間に生じる生体電気信号の計測・制御技術を開発する。平成29年度の成果は以下のとおりである。(1) 生体信号計測デバイスの開発インクジェットやスクリーン印刷法を用いて、エラストマー(例:SBS共重合体)からなるナノ薄膜表面に導電性ナノインクからなる電子回路を形成した。ナノ薄膜上に印刷した回路にLEDを載せ、別のナノ薄膜にて封止したところ、ハンダ付け不要でLEDと回路を電気的に接合できた。この電子化ナノ薄膜を皮膚に貼付したところ、生体表面においてもLEDを安定に作動させることに成功した。他方、ナノ薄膜上に導電性高分子であるPEDOT:PSSを印刷したところ、歪みに応じて抵抗値が直線的に増加することが明らかになった。そこで、ナノ薄膜の柔軟性・密着性・追従性を利用して、皮膚に貼付可能なナノシート型ひずみセンサを作製した。得られたセンサは、皮膚の伸展・収縮を妨げずに微小な変形(5%以内の歪み)を検出できることが示された。(2) 細胞組織体の機能制御ナノ薄膜を利用した難治性潰瘍に対する脂肪組織由来幹細胞(ASCs)の移植手法を開発した。多孔質構造を有するナノ薄膜上で培養したASCsは、平滑構造のナノ薄膜と比べると、細孔構造の導入に伴う細胞外分泌物の増加が認められた。このASCs担持ナノ薄膜を積層し、皮膚欠損モデルマウスの背部に貼付したところ、ナノ薄膜を足場とすることで患部に均一にASCsを移植することに成功した。ASCs担持ナノ薄膜群と未処置群で治癒面積を比較したところ、ASCs担持ナノ薄膜群では11日後に有意に創部が縮小した。他方、微細加工技術を利用することで、ナノ薄膜表面に骨格筋細胞を異方的に配列させた。得られた筋管担持ナノ薄膜を電気刺激したところ、筋管細胞の収縮に伴い律動的な駆動をナノ薄膜全体に誘起させることに成功した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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