研究課題/領域番号 |
15H05357
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
北 佳保里 千葉大学, フロンティア医工学センター, 助教 (60550548)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 職業性ジストニア / MRI / 脳構造神経線維連結 / 脳波 |
研究実績の概要 |
職業性ジストニアとは局所性ジストニアの一種で、長期間にわたる過剰な運動学習によって訓練した課題に特異的に異常な不随意運動が生じる治療法が確立されていない神経疾患の一つである。また、Brain-Machine Interface(BMI)とは、機械学習を用いて運動意図に関わる神経信号を読み取りロボットハンドなどを制御する、脳と情報装置を直接繋ぐ新興神経工学技術である。近年、BMIは神経補綴だけでなく、リハビリテーションにも応用され始めており、治療法が未確立の疾患への応用が期待されている。本研究では、fMRIにより計測された脳活動をリアルタイムに可視化して提示し、その情報を手掛かりに自身の脳活動を調整することで、脳活動や運動機能の改善をはかるreal-time fMRIニューロフィードバックを目的とする。H27年度は、神経基盤にかかわる評価指標の検証や、ニューロフィードバックのターゲットとなる脳活動の検証を行った。 以下に、それぞれの詳細を記載する。 1. ニューロフィードバックのターゲットとなる脳活動の同定:本研究では元々、音楽家のジストニアをニューロフィーバック訓練の対象としていたが、職業性ジストニアの一種である書痙を対象として脳波ニューロフィードバック訓練に関しても検討をはじめた。本年度は、脳波ニューロフィードバックのターゲットとなる脳活動を同定するため、書字に関連した課題実施中の脳波計測実験を行い、書痙患者、健常被験者間の脳波の差異を検証した。 2. 神経基盤にかかわる評価指標の検討:ニューロフィードバック訓練前後には、訓練が神経基盤に及ぼす影響を検証する。そこで、まず、訓練を行わない状態で、健常音楽家とジストニアに罹患した音楽家で、脳構造神経線維連結(DTI)に違いがあるか予め検証した。その結果、皮質、皮質下領域においてfractional anisotropy(FA)値に群間差があり、ジストニア群の方が低いFA値を示すことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、MRIニューロフィードバックシステムの構築を目的とした神経基盤の評価方法の検討を行い、さらに研究計画当初は予定していなかった、脳波を用いたニューロフィードバックの検討も開始することができた。以上より、本研究課題は概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
脳波を用いたニューロフィードバックに関しては、統計的手法を用いて、周波数、時間帯ごとにジストニア群、健常群の違いを検出する予定である。また、脳構造神経線維連結に関しては、全脳での比較に加えて、関心領域を設定し、領域間の線維連結に関しても検証を行う。
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