研究課題
本研究は,脳卒中後に多くみられる一側性の運動麻痺(片麻痺)に対するリハビリテーション法として近年注目されているロボット・リハビリテーションについて,その効果をより増強するための方法として,電気刺激をはじめとした介入の併用について検討するものである.今年度は,ロボット・リハビリテーションの中でも,特に上肢のリーチング動作のリハビリテーションを目的としたMIT-MANUSを用いた訓練の効果を増強することを目的とした介入研究を行った.今年度の介入では,ロボット・リハビリテーション時に,運動閾値よりもわずかに低い強度での電気刺激を,麻痺側上肢の三角筋前部および上腕三頭筋へ与え,ロボット単体でのリハビリテーションと比較し,麻痺改善などに効果があるかを検討した.結果,1日1時間,週5日,2週間の介入後に,ロボット単体でのリハビリテーションよりもアクティブな関節可動域,および,総合的身体機能評価法のひとつであるFugl-Meyer assessment(FMA)のスコアが増加すること(リハビリテーションの効果が増強したこと)が明らかとなった.電気刺激はロボット・リハビリテーションをはじめ通常の訓練とも併用が容易であることから,脳卒中後のリハビリテーションに有用であると考えられる.今年度の結果は,本研究の最終的な目標である,脳活動を経頭蓋電気刺激や経頭蓋磁気刺激を用いて増強あるいは減弱させる修飾を行い,リハビリテーション効果を増強する試行の前段に位置する.
3: やや遅れている
fNIRSによる脳機能計測では,評価結果を左右するほどの,皮膚血流をはじめとしたアーチファクトが重畳するが,このアーチファクトを除去し安定的な評価結果を得るための環境整備に予想以上の時間がかかっているため.
今年度は経頭蓋電気刺激を導入し,脳機能を修飾することによりリハビリテーション訓練の効果が増強されるかを検証する.fNIRSによる脳機能評価が安定的に可能となれば,訓練前後の脳機能評価を元に,経頭蓋電気刺激の刺激部位や電極の極性を調整し,より効果的な介入方法を調査する.
すべて 2017 2016
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