研究課題
サルコペニアは、老化に伴う筋量低下とそれに伴う筋力や身体機能の低下と定義される。現在の国際的な診断基準では、筋量の指標として、二重X線エネルギー吸収法(DXA)や核磁気共鳴画像法(MRI)・X線CTなどの画像法を推奨している。しかし、これらの方法は、介護予防現場などで多数を迅速に計測する上では適さないことに加え、MRIなどで筋内組成を評価しようとすると、特殊な技術が必要であるため実用的ではない。一方、我々が研究している部位別多周波生体電気インピーダンス分光法(S-BIS)は、迅速に多数の対象者を測定でき、さらに筋内組成を評価できる可能性がある。そこで、我々はS-BISによる筋内組成の評価を実施した。測定対象者は、若齢者(一般・アスリート)・高齢者・肥満者・要介護高齢者・脊髄損傷を有する者・脳卒中患者など、さまざまな対象とし、各8~12名程度取得した。加えてmaximum length sequence (MLS) 法によるスペクトラム分離解析を用いることで、約500以上の周波数成分の電気抵抗値を同時かつ連続的に測定を行うことで、迅速に多数の対象者の測定を実施し、合計1500名以上の測定を行った。多数のコホートを利用してデータを測定しているため、現在はそのデータベース化を進めているところである。データベースが出来次第、まずは加齢変化とS-BISとの関連について明らかにしていくものとする。
3: やや遅れている
平成27年の夏期に研究代表者の不測の病気により長期療養の必要が生じ、測定の一部を平成28年度に繰り越したが、6月までに予定の人数を達成させることができ、実験計画を終了させることができた。
研究課題から得られた結果は良好と考えられ、H28年現在、論文を執筆中である。H28年度中、ならびに、最終年度であるH29年度には数本の論文が投稿・受理・発刊されることが期待される。また、S-BISの最大の利点である極めて迅速で簡単な計測である点から、多様な共同研究の中でも測定が可能になっており、思っている以上の発展が期待される。
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